スタートアップ企業の社長から聞かれることが多い。利益が出そう→税額予測を伝える→この質問をよく頂きます。あえて言うならば、という前提で「経営セーフティ共済」をおススメしてます。厳密に言うと課税の繰り延べであり、税金を払わなくて済むわけではないけれど多くの社長からニーズがある商品です。記事にしてみました。ご参考まで。
どんな商品?
経営セーフティ共済の本質的な目的は「取引先の倒産」に備えることです。そのための共済(保険のようなもの)になります。不測の事態が起きた時には事業資金を速やかに借入できる制度。解約はいつでも可能で40カ月以上の納付があれば元本が保証されます。
※12カ月未満の場合は解約手当金が受け取れません。
そして、経営者さんが最もメリットを感じているのが税制上の優遇措置。掛金の全額が支払った期の費用になります。40カ月以上(3年ちょっと)支払期間の継続を予定しているならば元本保証される上に法人税を下げることが可能です。
掛金は月額5,000円~200,000円の範囲で自由に選択でき、総額800万円まで積み立てることができます。前納することも可能で1年分前払した場合、全額支払った期の費用にできます。つまり当該制度を利用することで決算日直前であっても240万円費用計上できます。
※解約(解約手当金を受領)しても、再加入が可能です。
出口戦略が重要
経営セーフティ共済で見落としがちなのが解約手当金を収入計上しなければならない点。支払った時に費用になりますが、解約手当金は受け取った時に収入になるのです。冒頭で節税ではなく課税の繰り延べと言ったのはこれが理由です。
月額200,000円積み立てると3年ちょっとで800万円に達する。上限到達するとそれ以上積み立てができないので費用計上がSTOPします。業績変動が激しい商売をしているならば赤字が発生したときに解約し赤字と相殺することで有効活用できますが安定的に黒字の事業者はそのタイミングが難しい。
大型設備投資や役員退職金と相殺するのが一般的ですが、大型設備投資(800万円)は無理やりやるものではないし、役員退職も1度限りで滅多に決断できるものではありません。…とはいうものの3年ちょっとの時間的猶予は大きいですよ。この期間に出口戦略を十分検討しましょう。主に設備投資、広告宣伝、人材採用などになろうかと。ちなみに無駄遣い(必要ないものを買う)はおススメしません。自分の事業に投資するのが最優先です。
おわりに
バブル崩壊・リーマンショック・東日本大震災・コロナショックと予測不能な出来事は定期的に起きるものです。今後も必ず起きるでしょう。そういった意味では今回紹介した「経営セーフティ共済」は非常に使い勝手の良いものです。
今期の利益を圧縮する効果(240万円)を享受しつつ、連鎖倒産に備え、何も起きなければ解約手当金を受け取って設備投資資金などに充てる。とても良い商品かと。多くの経営者さんが関心を示しています。
近年、残念ながら民間保険会社の節税商品は次々と規制が入っています。個人的には保険会社はやりすぎ・攻めすぎたのでは?と思ってます。行き過ぎた節税策には規制が入ります。一方、経営セーフティ共済は独立行政法人(国の政策実施部門のうち一定の事務・事業を分離させた法人)が運営しています。制度趣旨から考えても廃止はないでしょう。
興味があれば資料請求してみてくださいね。今日はここまで、また次回もよろしくお願いします!
コメント