サラリーマンじゃなくて良かった!で良いですか?

税金

昨今サラリーマン増税がSNSを賑わせています。退職所得控除の見直し、給与所得控除の見直し、通勤手当非課税の見直しなど。いずれも所得計算に係る議論が税制調査会でなされています。2023年6月30日275ページにわたり「わが国税制の現状と課題」について答申が発表されました。冒頭相談「サラリーマンじゃなくて良かった!」と言えるのか?結論から言うと、残念ながら法人経営者や個人事業主にも影響があります。どのような議論されているのか記事にしてみました。ご参考まで。

退職所得控除の見直し

サラリーマンのみならず、法人経営者にとっても大問題。給与としてもらうよりも退職金としてもらったほうが税制上の優遇を受けられる、と顧問税理士から聞いた社長も多いはず。会社に資金を残したり、法人保険に加入したりして対策をとっているのではないでしょうか。

改正が入ったとしても当該(退職金有利)状況が逆転することはないと考えますが、受ける恩恵が小さくなる可能性があります。税制調査会での議論は決定事項ではない為、何とも言えませんが現在退職所得控除は勤続年数20年を超えると増加する規定になっていますが、20年超の増額部分を廃止する方向で考えているようです。

理由は「成長分野へ労働力の移動を促したい」から。生産性が高い分野への労働力の移動は方向性として正しいと思います。ただし、それが退職所得控除見直しの理由になるのか?という話。退職所得控除の計算方法を知っている人が専門家以外でどれほどいたのか?仮にいたとして退職所得控除が増えるから同じ会社にずっと居続けるつもりです(20年以上)!なんて人がいるのかという突っ込みが入りそうです…。

上述の理由であれば20年までの部分について控除を増やさないとおかしい。でないと単なる増税です。本音は別のところにあるのかもしれませんね(たびたび答申で財政が厳しいという文言が出てきてます)。

個人事業主さんにも影響ありますよ。小規模企業共済やiDeCoは受取(一括受取)時には退職所得になりますからね。今後の動向に注目です。

給与所得控除の見直し

こちらも役員報酬を受け取っている経営者に影響があります。役員報酬も給与所得だからです。現時点で給与所得控除は年収の3割程度。例えば年収400万円の給与所得者(役員含む)ならば、まず給与所得控除として120万円が差し引かれ、更に各種控除を差し引き所得税や住民税が計算されるという仕組みになっています。

なぜ給与所得控除が認められているのかというとサラリーマンだって必要経費あるよね、いくらか認めてあげましょう!という考え方が背景です。ただ、サラリーマンが仕事上必要なものはほとんど会社負担というデータがある模様。実際に給与所得者が負担しているのは3%程度らしい。勤務時代を思い出すと感覚的には大きなズレはありません。多く見積もっても1割ぐらいでしょうか。

よって、今回議論されているのは「給与所得控除、3割って多すぎないか?」という点です。諸外国と比較しても手厚いという理由で改正が入るかもしれません。いきなり30%→3%みたいな大幅増税にはならないと思いますが徐々にという可能性があります。こちらも今後の動向に注意が必要です。

おわりに

通勤手当や配偶者控除にも改正が入るかもしれません。もちろん増税方向へです。理由は「リモートワークも増えてきたので」「共働きが増えてきたので」などなど。SNS上の何故それが増税の方向に?という疑問はごもっとも。

上述の理由であればリモートワークに係る手当に非課税枠を設ける、共働きに控除を設けるなどすれば公平になる、なぜそっち方向(減税)への議論にならない?と私自身も思います。建前上の理由で国民を納得させるのは難しいかもしれません。

岸田総理は支持率急落により自民党税制調査会長に内容確認を行った模様。→サラリーマン増税は「全く考えていない(7月25日)」とのことなので当面の間は安心して良いかなと。一方で、検討段階に入ったので将来的に改正される可能性は残ります。上述しましたが日本の財政は厳しいと政府ははっきり認めているからです。人口減少・少子高齢化によるダメージは相当根深いんだろうなと推測します。すべての増税がここに繋がっている気がするので。

人口構造の予測(少子高齢化の未来)は容易にできた→国力が充実していた Japan as Number One 時代の大人たちが対策を施してほしかったな~と思ってました。…が、答申を見ると私が小学生の頃から既に問題を認識していたようです。我々が気付くようなことは優秀な官僚はほぼ把握していると思っていい。ちなみに消費税導入の議論は1979年に始まっています。

当該問題意識から消費税導入に踏み切り対応しようとしてきたが十分でなかった、ということでしょう。消費税導入反対運動などにより思ったような対策(導入時期や内容)が取れなかった。当時からインボイス制度や税率についても検討を重ねていたようです。選挙があるので政治家にとって増税の決断は難しい。政治が絡む場合、必ずしも合理的な判断が下されるわけではないのです。

もちろん私も増税は大嫌いです。でも、子供がいるので彼らに負担を押し付ける(赤字国債で問題を先送りにする)のもどうかと思います。我々の時代できっちり精算、いやいやそれは無理でも自分達世代の責任ぐらいは自分達で果たしたい。子供がいる親は大体同じ気持ちではないでしょうか。政府は増税するなら社会問題を解決する道筋を示すことを期待します。国民はそれを厳しく監視する必要がありますね。

※財政は全く厳しくない、赤字国債どんどん発行しろという意見も。どちらが正解なのか私には分かりません。ただし、以前民主党政権が増税なんて必要ないと言って政権交代を実現しましたが実際には増税しました。

日本国に期待する一方で、一市民の我々がぐちぐちと文句を言っても世の中が変わる可能性は低い。自分自身を変えるほうが手っ取り早いのも事実です。サラリーマン(役員含む)が不利だと思うのであれば個人事業主になれば良い。いきなり退職するのは…という方は副業を始めてみるとか不動産投資を検討してみるなどは如何でしょうか。政府や他人を変えるのと比較すれば容易です。

今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!

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