法人にした方がいいですか?

税金

多くの方がこの疑問を持っています。結論から言えばケースバイケース。いつも書くことですが、前提条件がそれぞれことなりますので、どのような状況(貯蓄額、所得額、所得控除、健康状態など)に皆さんがあるかによります。今回記事にしてみました。ご参考まで。

タダではありません

個人事業主のように税務署に開業届を出して終わり、とはなりません。法務局で法人登記して初めて法律上、法人として認められることになります。この手続きを省略することはできません。法人設立の手続きをご紹介する記事ではないので細かく書きませんが、定款を作って、資本金を決めて、役員を決めて、などいろいろな手続きが必要となります。

会社設立手続を自分でやるか専門家に任せるかに分かれると思います。自分でやる場合でも、コストは発生します。株式会社の場合、定款認証・印紙代・登録免許税などで総額25万円ほど。専門家に依頼する場合には、定款を電子認証することで印紙代(40,000円)が浮き、その金額の範囲内か少し上乗せされたぐらいの報酬で請け負ってくれます。よって、支払総額に大きな差はないはずで、任せてしまった方が良いと思います。ちなみに税理士はこちらの手続代行をすることはできません。会社設立の専門家は司法書士さんになります。行政書士さんも一部業務について請負可能だと思いますが、全部の代行をすることができません。コストを抑えたい方には合同会社という選択肢もあります。合同会社であれば総額10万円ほどです。

まずは、これらの初期費用が掛かりますが、どうしますか?法人成りしますか?という問いになります。1つ目の検討事項です。

計算方法が変わります

所得に対して税率を掛けるのは同じです。ただし、所得税は超過累進税率で金額に応じて5%~45%と段階的に税率が上がりますが、法人税は原則一律23.2%になります(中小法人は800万円以下の部分について15%の軽減税率適用)。【2020年現在】

この他にも、住民税や事業税なども掛かりますから法人設立したら、おおよそ所得の30%ぐらい税金を納めるとイメージしてもらえば良いかと思います。年間所得800万円以下であれば25%ぐらい。これと個人事業主として支払う税率がどうか比較して法人設立した場合の方が低く、今後もその傾向が続く見通しであれば迷わず法人設立で良いかと。個人事業主であっても住民税10%と事業税3%~5%が掛かりますので、単純に超過累進税率と比較するわけではなく住民税と事業税も加味して考えてください。

法人設立のメリットですが社長の給料が一定の要件を満たせば経費(損金)になります。個人事業主には認められていないもので、とても大きなメリットです。その給料に係る所得税とのバランスを考えて、全体として最も税金が掛からないよう役員報酬を設定するのがBest、ということになります。

役員報酬以外にも法人に認められて、個人事業主には認められていないものがいくつかあります。よって、税率のみ比較すると個人事業主の方が有利であっても、それだけでは本当の有利不利は決まらないということです。以上が2つ目の検討事項になります。

申告書作成は難しくなります

会計処理は取引量が同じであれば青色申告で損益計算書と貸借対照表を作成する(65万円控除)場合と同等の手間が掛かります。会計処理はできるけど申告書が…という方も多いのではないでしょうか。個人事業主の書類と比較して税務署への提出書類が増えます。その作成方法も複雑であり、初心者で作成することはほぼ不可能ではないかと思ってます。

税務申告ソフトを導入し、申告書作成も自社でという会社はゼロではないものの、経理部に会計事務所出身者や税理士資格を有している社員がいるなどの特殊ケースであり、ほとんどの中小企業が外部に依頼しているという感覚です。

そこで、会計事務所の料金ですが、設立当初は売上が少ないと仮定すると、最も料金が安いプラン年1回決算申告のみ依頼し、記帳代行も含む(いわゆる丸投げ)サービスで30万円ぐらいが相場かと思います。最安値検索するともっと安い事務所はあるかもしれませんが、相場より極端に安いとすれば、安いなりの理由があるはずです。これは会計事務所に限った話ではなく、リスク込みで検討する必要がある部分でしょう。税法について、詳しければ会計事務所側の間違いを指摘できますが、そうでないから専門家に依頼するわけです。自分の知らない所で損をしている、トータルコストが余計に掛かった、ということはあり得ます。この点はご注意を。

料金相場は個人事業主の場合と比べて如何でしょうか?高くなってますよね。なのでこの点を許容できるかどうかが、3つ目の検討事項になります。

おわりに

先ほど少し触れましたが、法人の方が節税策がたくさんあるのは事実です。代表的なところでは、非常勤役員への役員報酬、社宅家賃、出張旅費、法人契約の保険などです。これらの恩恵を受けられる所得があるか(ありそうか)、というのも有利不利を判定する要素になるでしょう。

一般的には消費税の課税事業者になるタイミング(売上1000万円を超えた2年後)で法人成りする方が多いです。事業が軌道に乗ってきたタイミングであり、消費税の免税期間が終わるタイミングでもあります。法人成りすれば免税期間が2年延びるので税理士もおススメしているからです。売上が1,000万円を超えても原価率が高くて所得がほとんどない、という方は個人事業主のままがいい場合もあります。あくまで、一つの目安であり冒頭でも述べた通りケースバイケースになります。

法人設立後は、役員報酬の金額をいくらにするか?消費税を簡易課税にするか?原則課税にするか?などなど様々なシミュレーションが必要であり、これらはそれなりに労力(時間)と責任が発生します。先ほど一番安いプランと言った「決算申告のみ(いわゆる年1契約)」のお客様へのシミュレーション対応をしていない事務所は多いはずです。報酬が少ないので赤字になる、が理由だと思います。こちらも事前に確認しておいた方が良い点です。

本日はここまで、次回も宜しくお願いします!

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