売上1,000万円超えました!

税金

売上が少ない開業当初、個人事業主さんは自分で経理処理をし、確定申告する方は多いのではないでしょうか?専門家に依頼する動機の一つが上記の売上ラインかもしれません。経理処理が少し複雑になります。正確には1,000万円を超えた2年後から消費税を申告するための経理処理が必要になってきます。消費税について記事にしました。ご参考まで。

1,000万円を超えた年からではない

商売をしている皆さんは1000万円が消費税を申告しなければならない売上ラインであることはよくご存じです。ですが、この超えてしまった年から申告が必要と思っている方がいるので「いつから消費税が関係してくるのか」このブロックでは紹介します。

消費税の納税義務の判定は前々年の売上を基準に判定します。正確には課税売上と呼ばれる売上が1,000万円を超えるかどうかで判定します。消費税法上の売上は3種類に区分されており課税売上、非課税売上、不課税売上があります。ただし、非課税売上や不課税売上に該当するものは特殊な売上であり、ほとんどの商売が課税売上になるので売上が1,000万円を超えたら2年後に消費税の申告をしなければならない、と思ってもらってほぼ間違いありません。

念のため非課税取引と不課税取引の代表例を挙げておきます。
非課税売上:土地の売却、有価証券の売却、社会保険医療に係る報酬などです。
不課税売上:国外取引、寄付や贈与による収入、配当による収入などです。

申告方法は2種類ある

国税庁のHPを見ると確定申告書には『一般用』と『簡易課税用』という2種類があることが分かります。その名の通り、経理処理が簡単なのは簡易課税です。

シンプルに説明すると一般用は売上の中に含まれる消費税から経費に含まれている消費税を引いて納税額を計算します。一方、簡易課税用は売上に含まれる消費税を把握するのは同じですが、経費に含まれる消費税はみなし仕入率(法令で定められている)という率を使って算出し、差額の納税額を計算します。

一般用は売上、経費共に消費税を把握する必要があり手間が掛かりますが、簡易課税用は売上のみ消費税を把握できれば計算できるため負担感は減ります。なぜ簡易課税が認められているかというと小規模な事業者の事務負担を軽減する為です。よって、全ての事業者が選択できるわけではありません。小規模事業者であることが条件です。

『小規模』であるかどうかの判定は売上(課税売上)が5,000万円以下であるか否かです。納税義務と同じく前々年で判定します。また、簡易課税の適用を受けたい場合は事前届出が必要です。期限のある届出なので適用を考えている方、くれぐれもお忘れなく。

簡易課税が有利?

申告方法が2種類あるのでどっちがお得?という話が出てきます。結論から言うとシミュレーションが必要です。わざわざ届出をださせるんだから簡易の方が有利なのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

みなし仕入率は業種ごとにおおよそこのぐらいの仕入があるだろうという予測率を用いている為、実際の原価率より低い場合もあり得ます。国税庁は緩めの設定をしてくれているので多くの方が簡易課税有利となっていますが、確認は必要です。実際の原価率が高ければ一般用による申告の方が有利になります。また、この予測率には高額な設備投資といったイレギュラー事象は含まれていません。大規模な設備投資計画がある場合、支払った消費税も大きくなる為、一般用で申告した方が有利になる可能性大です。今後の計画も含めて検討が必要です。

簡易課税を選択すると2年間は原則課税に変更できなくなるという点も非常に悩ましい点です。年度ごとに自由に選択できるわけではない、と覚えておきましょう。

この事前届出と2年縛りがあることにより、簡易課税の選択は税理士にとってもかなり慎重に検討を要するところです。シミュレーションなんてできない!経理処理の負担が減るなら簡易でいい!という方は簡易で良いと思います。大きな設備投資がなければ多くの場合は簡易が有利で、仮に原価率の高い商売をしていたとしても、みなし仕入率と比べて大きな差はありません。自分自身で申告まで済ませたいという方には『簡易課税用』をおススメします。

おわりに

平成元年にスタートした消費税ですが、税収に占める消費税の割合は年々増え続けついに所得税を抜いて税目別TOPになりました。私が税理士受験をしていた頃(20年前)から講師の先生はこれから税収のメインは消費税になる、勉強して損はない!とおっしゃっていました。それが現実になった形です。

当時は受験で頭がいっぱいでして…世の中の流れを見る余裕など全くありませんでしたが、講師の方からすれば消費税率の段階的引上げは容易に予測でき『消費税がメインになる』と教えてくれたんだと思います。

税の専門家になって現状を分析すると、、、難しいですね、笑。菅首相は今後10年は上げないとのことですが、裏を返せば更に上げる必要あり、と考えています。多額の財政赤字があることを理由に、景気変動の影響が少ない安定税収である消費税は今後上がることはあっても、下がることは無いのでは?と私は予測します。

政府が発表している通りの財務内容であれば、です。
日本は多額の借金など抱えておらず、政府保有の資産を現金化して相殺すれば全額返済可能という意見の学識者さんもいます。もしこれが本当で、今後こちらの意見が主流となれば減税もあり得るでしょう。ただ、今のところ少数派のようです。老後2,000万円問題を見ても『日本の財政はマズい』という意見が大半に見えます。真実がどちらなのかは私には分かりかねます…。

翻って我々中小事業者にとってできることは何なのか?税率がアップすれば通常は納税額もアップします。日々の会計処理をタイムリーにこなし次期以降の予測(シミュレーション)がしやすい状況にしておくことです。有利不利判定による効果はより一層大きくなる傾向にあるからです。

本日はここまで、次回も宜しくお願いします!

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