最後たくさん買い物したらどうですか?

税金

確定申告の季節が近づいてきましたね。年度末近くに多く受けた質問です。つまり利益(儲け)を圧縮したいという意図。その意図に沿うものもあれば、沿わないものもある、というのが回答になります。今回は決算期近くの買い物について記事にします。確定申告(個人事業主)の方は次回申告のご参考に。

棚卸資産の場合

棚卸資産とは、商品や原材料などを言います。これらは購入時に経費とはなりません。いつ経費にするかというと商品・製品が取引先に販売された時に計上します。売上(収益)と経費(費用)を対応させる必要があるわけです。経費のみ先行して計上することはできないと考えて頂ければ。

会計処理は売れていない分を在庫として資産に計上し、次年度以降の売上と対応させていくことに。お店で「本日は棚卸のため13時で閉店します」といったお知らせを見ることありますよね。私は近くのウェルシア(薬局)でこの告知を目にします。これは在庫の数量・金額を把握し、次年度以降に繰り越す資産額を把握する作業(棚卸)を行っています。決算数値確定の為には重要な作業であり、営業をSTOPしてでもやる必要があります。

消耗品の場合

一定の要件を満たすと経費になります。要件は下記3つ全てを満たす必要があり。

①毎年同じぐらいの量を購入している
②毎年経常的に消費している
③経理処理(購入時費用処理)を継続している

消耗品は棚卸資産などと比べると金額の重要性が低く(あまり高額にならない)①から③を満たせば消費分を詳細に把握しなくても、購入時に費用処理した場合とおおよそ一致するだろうという趣旨から特例として認められています。

年度によって購入額、消費量が大きく異なると趣旨からズレてしまうので対象にはなりません。

減価償却資産の場合

長期間にわたって使用する資産(減価償却資産)は購入時の経費にならない、はご存知な方が多いでしょう。法定耐用年数といわれる見積使用可能期間で購入額を配分していく必要があります。これがいわゆる減価償却といわれる処理です。

法定耐用年数というからには、使用可能期間は自分で勝手に決めていい訳ではありません。1年しか使わないから全額今年の経費で…ではこの制度の意味がなくなります。乗用車6年、ノートパソコン4年、マンション47年など決められており、この期間で配分します。

ちなみに、時の経過によって価値が減少しないものは減価償却されません。土地や絵画・骨董などは時の経過で価値は減少しません。むしろ上がることもあるでしょう。よって、購入額を経費計上することができません。当該資産を売却した時に損失or利益が計上されることになります。

減価償却資産にも特例が用意されています。条件を満たせば利用できます。
①10万円未満は全額費用_少額減価償却資産
②20万円未満は3年間で均等配分可能_一括償却資産
③30万円未満は一定の要件を満たせば全額費用(青色申告など)_中小企業の少額減価償却資産

おわりに

独立すると、私と相性が合わない=弊所と相性が合わない、になりますよね。
勤務時代とはあきらかに状況が違ってきます。

優先順位的な話をすれば事業健全性を確保することが最も重要で節税先行型スタイルは危険、と私は常々言ってます。なので「一銭も税金を払いたくない!」という方は初回面談時点で顧問契約に至らないし、ブログで表明していることもあって当該趣旨での初回面談は少なくなってきました。ミスマッチを事前に防ぐ狙いもブログにはあり、少しずつ効果が出てます。

勤務時代それはそれは様々な経営者さんと仕事をしてきました。上記に係る事例で注意喚起の意味を込めて極端な例を1つ:期末に商品券をバンバン購入、私が内容を尋ねると「全部取引先に使いました!(贈答した)」→→→本当ですか??というお客様が。税理士は税務署のように不正を暴く権限は有していないし、そもそも不正を暴くのは我々の仕事ではありません(不正を暴く仕事をしたくて税理士になったわけでは…)。

「税金を一銭も払いたくない!」気持ちが行き過ぎると不正につながります。
期末近くの買い物も上述の通り条件を満たせば経費計上が認められます。ですが一般的にはそれほど金額に大きなインパクトはない。商品券バンバン買えばそれなりにインパクト出てきますけど…。

仮に、商品券の利用実態が取引先ではなく自分で使ったら役員賞与、従業員にあげたら源泉徴収の対象(つまり給料)、期末時点に未使用であれば貯蔵品です。取引先への贈答でないとしたら交際費計上にはなりません。期末近くに税金を払いたくないだけの理由で取引先に商品券を配りキャッシュを大幅に減らす意味ってありますか?大いに疑問です。普通の経営者はやりません。

税務署も、取引先への贈答じゃないかも→取引先に確認しよう!と考えます。彼らは税理士と違って商品券を渡した取引先名とその金額を聞く権利、直接取引先に対して商品券を貰ったかの裏を取る権利を持ってます。他の記事でも書いてますが税理士に嘘をついても意味はありません。

私の記事を読んで頂いている皆様には健全な経営とその結果としての事業永続性を期待します。節税願望が先行しすぎないよう気を付けましょう。言われなくてもそうしてますよ!と叱られそうですけど、笑。いつも通り念の為とお考え下さい。

今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!


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