株を売った時、配当を貰った時、これが株について所得が発生するタイミングです。売る時は損失を被ることもあるでしょう。株の税金関係について記事にしてみました。ご参考まで。
譲渡所得
株を売った時の所得は「譲渡所得」として申告します。つまり、儲けたら所得税が掛かる。儲けの計算方法は1年間の合計で考えます。儲けが出た取引もあれば、損をした取引もあるはず。もろもろ含めて1年間の合計を算出します。
その合計額がプラスであれば所得となり税金を支払う。株式譲渡所得で特徴的なのが事業所得と違って他の所得との合算(損益通算)ができない点です。例えば事業所得のマイナス(赤字)と株式投資のプラスをぶつけて所得を減らすといったことはできません。これを分離課税と言います。
税率は儲けに対して所得税15%、住民税5%、復興特別所得税2.1%と現時点ではなっています。上場株式について優遇税率を用いていた過去があるので政策的な影響を受ける分野です。改正内容にもご注目ください。以前の税率はかなりお得感がありました(富裕層への優遇措置との批判も…)。現在ですとNISA(少額投資非課税制度)がありますね。
譲渡損が出たら申告しない?
分離課税で他の所得と合算できないから申告しても意味ないか?というとそうではありません。申告しなくても税務署的に問題はないのですが…納税者側である、あなた自身が損をするかもしれません。
なぜなら上場株式の場合、配当所得と合算できます。最近の状況を鑑みると無配当銘柄は少なく申告することにより税額を減らす効果があります。配当がマイナスになることはありません。申告をすることにより必ず効果が発揮されます。
また、繰越控除も見逃せません。上場株式に限られますが配当と相殺しても残ってしまった損失は次年度以降(3年間)の売却益や配当と合算することができます。確定申告をして所定の付表を添付する必要がありますが、株式投資を継続する気があるならば利用すべき制度です。
※3年間に株式投資をしなかった年があっても継続して損失を繰り越す手続が必要になります。失念すると損失は繰り越せなくなります。
配当は悩ましい
配当所得は申告不要・分離課税・総合課税という3つの方法が存在します。どれを選択するかによって税額が変わる為、税理士はクライアントの申告に際して有利不利を判定しています。この判定については専門家でも即答することが難しいケースもあります。大まかなところだけ掴んで頂ければと。
・自分の所得税率が15%超→総合課税は選択しない
・譲渡損失との合算がしたい→分離課税を選択
正確なシミュレーションは個々の申告状況を見ないとできませんが、おおよそご参考まで。所得税率15%超となるラインは課税所得330万円。これ以上は所得税率20%以上となるので15%超となります。
おわりに
株式の譲渡所得・配当所得について自分で申告しようとするならば特定口座を作ることをおススメします。会計事務所が代理申告している場合も特定口座作成をお願いされることが多いでしょう。特定口座以外は手間が掛かるので税理士報酬に影響がでると思います。
特定口座は源泉所得税の計算や年間取引の集計を証券会社がやってくれます。証券会社発行の年間取引報告書を見ながら確定申告が可能です。源泉所得税について「徴収なし」を選択することができますが、その場合、自分で計算する必要があって手間が掛かります。特定口座を作る際には「源泉徴収あり」を選択しましょう。
私自身は短期売買を目的とする株式投資はギャンブル性が高く手が出ません。やるならば長期保有目的かなと個人的には思っています。現状お金に余裕があって損失が出ても生活に支障がないという羨ましい状況にはないゆえ、笑。
このコロナ禍にあっても株価は上昇を続けておりバブル期以来の高値といった報道を目にすると、ますます株価変動予測の難しさを感じます。これが突然急落、とかも当然あり得る話で、預金と異なりギャンブル性があります。
ビジネスを行っている方はくれぐれも事業用資金には手を出さないようにご注意してください。株式投資で事業の損失を取り戻そう、と考えるのは非常に危険です。ギャンブル性があるという認識が必要です。どんなに天才的な投資家であっても100%の勝率を誇る投資家は存在しません。資金繰りに影響が出るような事態は起こしてはなりません。いつも通り念のため。
本日はここまで、次回も宜しくお願いします!
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