今回は社会保険の加入義務について記事にします。従業員さんのいないミニマム会社、一人会社の社長からよく聞かれます。「従業員いないのに入らないといけないんですか?」と。ご参考まで。ちなみに社会保険手続代行は社会保険労務士の業務であり、税理士が行うことはできません。
法人はどんな規模であっても加入しなければならない
事業主を含む従業員1人以上の会社は健康保険・厚生年金(社会保険)への加入が義務付けられています。「事業主を含む」なので、社長一人であっても加入義務があります。法人ならば加入義務があると考えて良いです。
個人事業主は従業員5人以上いる場合に原則として加入しなければならないという決まりなので、個人事業主時代のイメージで、一人社長であれば加入義務がないと勘違いしている社長も多いです。気を付けましょう。
社会保険加入が義務付けられている事業所のことを強制適用事務所と言い、任意で加入できる任意適用事業所と区別しています。(5人未満の個人事業主も任意で社会保険に加入できます。任意加入はあまり見ませんけど)
対象者は?
強制適用事務所に該当する→全ての人を加入させる必要があるのか?と言うとそんなことはありません。対象者の範囲が決められています。パートやアルバイト経験がある方は思い出してみてください。社会保険に加入していましたか?おそらく多くの方が加入していないはずです。
パート・アルバイトさんは労働時間、労働日数が正社員の3/4以上の場合に強制加入です。また3/4以上でなくても次の全てに該当すれば加入手続が必要です。
・週20時間以上
・1年以上の勤務見込み
・月8.8万円以上
・学生以外
・従業員501人以上の会社
平成28年の改正により、適用範囲が拡大していますのでご注意を。この記事をご覧いただいている方で501人以上の会社経営者は少ないかと思います。正社員の3/4以上かどうかに注目しましょう。冒頭のように1人社長であれば社長1人のみが対象者ということになります。
※無報酬(報酬ゼロ)であれば加入する必要はありません。つまり、強制適用事務所としての届出は必要だけど「対象者はいない」となります。
手続きについて
1つ目の提出書類は適用事務所としての届出(健康保険・厚生年金保険新規適用届出書)。
記載方法は下記へリンクへ。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20130502.html (日本年金機構HPより)
2つ目は加入する対象者(冒頭での話であれば社長)に関する届出(健康保険・厚生年金保険被保険者資格届出)。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/shuyotodoke.html(日本年金機構HPより)
3つ目は家族を扶養に入れるときの届出(健康保険被扶養者(異動)届)。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/shuyotodoke.html(日本年金機構HPより)
提出期限までの期間が短いので早めの対応が必要です。年金手帳や基礎年金通知書を用意しておくと記載がスムーズに行えます。手元にあるか確認してみてください。また、登記事項証明書や法人番号通知書は必ず添付しなければなりませんので用意しておきましょう。
おわりに
社会保険と同じく加入の検討を要するものに「労働保険」があります。こちらは従業員の為の制度なので社長1人の会社であれば加入する必要はありません。ただし、従業員を採用すれば加入しなければならないので頭の片隅にでも労働保険もある、と覚えておきましょう。
「年金なんてどうせもらえないんでしょ」→「社会保険料なんて払いたくない」という声も根強くありますが…多くの専門家が加入した方が良いと考えています。法律違反だからという理由だけではありません。平均寿命は伸び続けている状況で生涯一定額の受給が保証されている年金はとてもありがたい制度だからです。
今後、受給年齢が引き上げられたり、受給額がカットされたりすることはあるかもしれません。それでも保険会社が販売している個人年金より信頼できるし魅力があると私は考えます。国家と民間保険会社でどちらに信用があるでしょうか?(民間と言われると非常に困りますが、笑)
リターンについても考えてみます。国の場合、例え赤字であっても税金を充てたり借金をしてでも年金予算を創出しようとするでしょう。これは民間企業ではできません。既に消費税の一部を社会保障費用に充てていますね。更なる消費税増税も予想されています。それは社会保障を守る為でもある。信頼できる持続可能な年金制度とういうやつです(by厚生労働省)
消費税を全く支払っていない国民はいないでしょう。買い物ぐらいはしているはず。もし、あなたが消費税をたくさん支払っているにもかかわらず年金受給資格がなかったらどうでしょう?大損ですよね?他人の社会保障に貢献するだけに…加入した方が良い、です。
強制加入なので本来考える余地はない(選択制ではない)はずですが、勤務時代に加入していないクライアントさんをたくさん見てきたので私見を述べました。現在は年金事務所も厳しく加入の有無を監視していますから未加入を続けることは難しい。お知らせが届いたら早々に手続きをすることをおススメします。
今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!
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