税理士が係わる仕事(富裕層の方からの相談)で聞くことは滅多にありませんが、個人的(プライベート)な集まりで話題になることはあります。困っている方もいるのかもしれないなと思い記事にしてみました。ご参考まで。
どういったケースが考えられる?
最も典型的な例がマイナス財産が多い場合です。つまり、資産より負債が多い時です。借金を抱えたまま亡くなったケース。このケースで普通に相続してしまうと相続人(あなた)が借金を返していかなければならなくなります。
上記以外で考えられるのは相続人間(兄弟姉妹)の仲が非常に悪い場合。仲が悪すぎて話したくないし、関わりたくもない(絶縁状態)というケースです。このケースはもらえる財産の多寡により決まってくる印象があります。
①沢山貰えそうなら我慢して話し合いに応じよう②大した金額じゃないから関わりたくないし相続放棄でいい、どちらのケースも考えられます。
放棄するとどうなる?
プラスの財産もマイナスの財産も全部受け取らないという形態が相続放棄です。子供がいても代襲相続される(子供が代わりに引き継ぐ)ことはありません。マイナスの財産が多い時には有効です。ここで言っている財産とは「相続財産」のことです。
ちなみに、生命保険や遺族年金は相続財産ではないので相続放棄しても受け取ることができます。勘違いしている方も多いので覚えておくとよいかと。
明らかにマイナス財産が多い時は相続放棄すれば良いのですが微妙な財産状況だと悩ましいです。不動産の売却価額(市場価格)がいくらになるか?その金額によってはプラスにもマイナスにもなり得る…というケースです。
このような時は「限定承認」という選択肢もあります。プラスの財産の範囲内でマイナス財産を引き継ぐ形態です。最悪がゼロでマイナスにはなりません。ただし、相続人全員で行う必要があるので兄妹姉妹等親族と係りたくない人は難しい選択かもしれませんね。
期限があります
相続放棄は原則として相続開始から3か月以内にしなければなりません。お葬式や法要などバタバタしているとあっという間に期限が来ます。もっと考える(調査する)時間が欲しいという方は3か月以内に申述期間の延長を申請しましょう。
申述期間の延長を忘れてしまった!という場合には相続放棄は非常に難しくなります。…がやむ得ない事情があると認められると放棄できることもあるようです。相続放棄を諦めたくないという方は弁護士さんに相談してみてください。
限定承認の期限も同じ。相続放棄、申述期間の延長、限定承認どれを選択するにしても早めに動かなければ間に合いません。期限があることだけでも覚えておいてください。
おわりに
本文でも少し触れましたが不動産の市場価格算定は素人には難しいです。我々税理士は相続税評価額なら分かります。そして相続税評価額から予測するおおよその市場価格はお伝えすることはできます。ただ、この金額には個別事情は勘案されません。
欲しい人がいなければ市場価格は下がりますし、欲しい人が多ければ市場価格は上がります。当り前の話ですが市場次第。正確な市場価格となるとその道の専門家(不動産業者さん)に聞くしかないと思います。そんなに高く売れないだろうと思ったら結構なお値段に…という事も十分考えれますから。
以上、相続放棄はプラス財産も受け取らないので結果として損をするケースも出てきます。損することを避けたいなら専門家にお願いするのが賢明です。現在はネットで数社の買取見積もりを無料取得することができます。
営業電話がしつこいなどの声も聞きますが…実際に売却する気があるなら問題なしでしょう。比較検討して納得できる価格、かつ、信用できる業者と話を進めれば良い。無ければ毅然と断れば良いだけです。
今回は相続放棄について書きました。
各種書類の提出先はお亡くなりになられた方の住所地を管轄する家庭裁判所です。必要書類も検索すれば分かります。相続放棄の代行してくれる専門家は司法書士さんか弁護士さんです。3万円ぐらいが相場なようです。忙しくていろいろ準備するのが面倒という方は検討してみてください。
今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!
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