前回ご家族に仕事を手伝ってもらうケースを取り上げました。
https://tokunagazeirishi.com/family-salary/
ただ、専門分野となると外部依頼する場面が出てきます。知り合いに必要な技術・知識・資格を有する方がいれば真っ先に依頼候補として挙がりますよね。よって、この相談が多くなります。ポイントは給与と外注の違い、です。ご参考まで。
受注した仕事を手伝ってもらう
時期によって自分一人でこなせないほど仕事依頼がきた、なんてことありますよね。同業の知り合い(元同僚、上司、後輩など)に時間的余裕がある方がいればお願いするかもしれません。この場合、依頼の仕方によって外注なのか給料なのか論点になります。税務調査で指摘が多い論点です。税務署はそれ給料じゃない?と指摘します。
外注費でも給料でも同じ経費だからよくない?→→→「良くない」のです。
①消費税の取り扱いが違う:外注費は課税仕入、給料は非課税
②源泉税の取り扱いが違う:給与は源泉徴収あり、外注は(内容によるが)なし
という理由で「良くない」。
免税事業者・簡易課税選択をしている場合は①は関係ないですが②の源泉徴収漏れを指摘される可能性があります。社会保険加入問題などもあり、やはりどちらになるかは重要です。
契約内容、実態を見て税務署は判断します。紙面の関係でこれ以上掘り下げませんが、「指揮監督を受けない」「仕事の完成に対する報酬」あたりがキーワードです。Google検索してみてください。実態も見るので、契約書の書き方さえ工夫すればOKという訳ではありません。
外注費の源泉徴収
上記で、外注は(内容によるが)源泉徴収なし、としました。依頼する仕事の内容によっては源泉徴収が必要です。源泉徴収の対象範囲は国税庁HPにいくつかありますが、読者の皆さんがよく使うのは2点だけかと思います。①原稿料、講演料と②弁護士等の特定資格を持つ人に支払う報酬です。源泉徴収とは簡単に言うと天引きする行為のことです。給料から所得税が天引きされてますよね。この天引きです。一定の報酬の支払には給料同様、所得税を天引きします。
①でよく見るのはデザイン依頼。デザイナー業で慣れていない方は自分の報酬が源泉徴収対象と知らないケースがあります。この場合、請求書に源泉税の記載がないのでご注意を(記載がないから源泉徴収しなくていい、とはなりません)。②はいわゆる士業報酬。こちらは99%請求書に源泉税の記載があります。源泉徴収の必要性について判断することはなく、記載された金額を納付すればOKです。通常は納付の案内もあるかと。
残りの対象範囲となる支払は特殊な仕事です。基金が支払う診療報酬、プロスポーツ選手への支払、個人の芸能プロダクションへの支払、ホステスへの支払などで、支払側も限られていて該当する人は少なめです。
でも源泉徴収しなくていい
必要なし→必要な時もある→しなくていい、とあっちこっちいってすみません、笑。デザイン料や士業報酬を払う場合でも、源泉徴収しなくてもよい話をします。
上記に書いたのは個人に対する支払いなので、相手が個人事業主ではなく法人の場合は源泉徴収する必要はありません。法人への支払で源泉徴収の話が出てくるのは競馬の賞金のみ、ほとんどの方にとって関係ありません。法人(株式会社・合同会社など)への支払は源泉徴収なし、と考えてOKです。
また、従業員さんなしで給料支払がない個人も源泉徴収義務はありません。アルバイトさんやパートさんを雇用すると給料が発生するので、そこで源泉徴収義務が生じることになります。
おわりに
今回は仕事の外注について書きました。デザイン料・士業報酬など自分の専門分野と異なる依頼はその性格上も外注で外注費や支払報酬として問題なく処理できるでしょう。注意が必要なのが自分で受注した仕事をそのまま外注(元請け下請けの関係)する場合です。下請け側の個人事業主さんに記帳指導する機会が複数回あり、話を聞く限りではリスクありますね~と思うこと多々です。
最近、会社員に近い働き方をする個人事業主は増えていると聞きます。依頼主の指揮監督を受けていないか、仕事の完成による報酬ではなく時給換算になってないか、8時間労働など時間拘束はないか、などなど。これらをクリアできなければ実質的には給料、と認定されます。
税務署もこのような事情はよく分かっていて、外注費が多い法人・個人ともに重点的に調査対象としています。感覚的にはIT系と建築建設系が多いように感じます。事業者は外注費として処理する方がメリットある、逆に税務署はそれを簡単には認めたくない、の対立関係になってます。ご自身の事業に当てはまることがあれば、こんな関係になっているんだという点にご留意頂ければと。
本日はここまで。次回も宜しくお願いします!
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