消費税区分って意味あるんですか?

税金

会計ソフトに入力しようとすると謎の区分に出くわしませんか?消費税申告がある場合、経理処理が複雑になる原因がここにあります。課税対応だの共通対応だの何だよこれ、全く分からん…となった人の為に記事にしてみました。ご参考まで。

免税事業者は無視していい

消費税申告をする為の区分です。申告しない事業者(免税事業者)は区分する必要ありません。無視してもらって結構。ほぼ全ての会計ソフトが初期設定で課税事業者なのか免税事業者なのか、課税事業者であれば簡易課税なのか、原則課税なのかを設定できるようになっています。

自社(or自分)が消費税を納めるべきか分からない場合、税務署からの送付資料に目を通しましょう。課税事業者であれば消費税に係る資料が送られてきているはずです。破棄したかもしれない、などの不安があれば直接税務署に確認してください。教えてくれます。

ちなみに課税事業者となるおおよその目安は2年前の売上が1000万円を超えているかどうかです。2年前の申告書が手元にあれば確認してみてください。超えているなら消費税の申告が必要です。
※非課税・不課税売上などが含まれていない前提で。

設立・事業開始したばかりで2年前の申告書なんてないという方は、ほぼ免税事業者。免税事業者にもかかわらず会計ソフト入力時に区分選択を求められるなら初期設定が間違っています。会社設定を免税事業者に変更してください。求められることが無くなるはずです。

簡易課税の方がラク

課税事業者の場合、冒頭相談「何か意味あるんですか?」に対し「意味あります!」との回答に。意味ないなら機能として加えることはありません。相談者さんも何かしら意味があるだろうと思って聞いています。

消費税申告書には一般用簡易課税用の2種類があります。

まずは簡単な簡易課税用の話からします。売上に係る消費税にみなし仕入率を掛けて支払った消費税を算出する方法です。つまり、実際の経費計上額(仕入)とは無関係です。概算により支払った消費税(仕入税額)を計算します。よって、売上のみ消費税区分をすれば足ります。

現在みなし仕入率は事業の種類に応じて6つ設定されています。自社がどの事業に該当するかの判断は必要です。例えば、不動産業は第六種事業でみなし仕入率は40%です。それぞれ率が異なるので複数の事業をしている場合は事業ごと別々に売上集計する必要があります。補助科目を設定するか、科目自体を分けた方が良いでしょう。

小売りと不動産賃貸業であれば「商品売上(第二種)」と「駐車場収入(第六種)」といった具合です。軽減税率制度がスタートしたので食料品や定期購読の新聞など対象となる売上があれば分けて集計する必要があります…この制度により負担が増えましたね。

今回のテーマは経理処理についてなので具体的な消費税計算については省略します。

一般用は複雑です

いわゆる原則課税という方法で消費税申告する場合の話です。

ややこしい話をします。一般用には個別対応方式一括比例配分方式の2つがあります。どちらを選択するかによって区分をどこまでするか(負担)が変わります。

売上に関しては簡易課税より平易です。非課税売上・不課税売上・課税売上を判断、課税売上の内から軽減税率対象取引を抽出します (ここまで簡易課税も同様) 。業種ごとに分けることはしなくてOK。

問題は経費のほう。簡易課税と異なり概算で算出できず(みなし仕入率は使わないので)経費についても区分が必要です。仕入(経費)は種類・数量が多くて手間が掛かります。小規模事業者に簡易課税が認められるのは事務負担軽減が目的となっています。原則課税の方が手間が掛かる方法と言えるでしょう。

一括比例配分方式は消費税が掛かるか掛からないか、軽減税率対象か否かを区分できれば良いのですが、個別対応方式には冒頭相談の問題が発生します。計上した経費を更に課税売上対応、非課税売上対応、共通対応に区分しなければなりません。

支払った経費がどの売上に対応しているかという話です。例えば、不動産賃貸業で居住用住宅の修繕費は非課税対応です。家賃収入が非課税売上なのでそこに係る修繕費は非課税対応という考え方です。これを全ての経費について検討します。如何でしょうか?手間が掛かりますよね。

個別対応方式による消費税申告が一番手間が掛かります。有利判定(どの方法が一番税額が低くなるか判定)をするのであれば結局すべての方法を検討しなければならなくなります…。

おわりに

ここまで書いてどうかと思いますが…分かりましたか?。

課税事業者となるクライアントさんに同様の説明をしていますが「うーん。もはや専門家に委ねるしかないですね!」となることも少なくありません。しっかり理解できていないと会計事務所側で消費税区分を初期設定しても、新たな取引が出てくるたびに同じ壁に当たります。また同じ勘定科目であっても内容によって区分が変わってしまうのも厄介です。

区分を間違えると消費税計算は正しく行えないので非常に怖いです。現時点では経理部出身・会計事務所経験者でない限り、独力での消費税申告は簡易課税が限界では?と個人的には思ってます。正しく入力されていれば、会計ソフトが申告書作成を自動でやってくれます。…が、課税区分が誤っているならば自動作成されたその申告書は間違ってます

会計ソフトがあれば申告できる!という趣旨の広告宣伝を目にしますが、残念ながら課税区分を完全に自動判定してくれる段階には来ていません。税率(8%or10%)や非課税取引・不課税取引はレシートに記載があれば読み取り可能でしょうけど。

同じ支出でも業種・状況によって区分は変わります。どのような方法で将来的に自動判定できるようになるのか楽しみです。この区分を諦めて法律改正(消費税計算の簡素化)という未来もあるかもしれませんね。

「徳永さん、税理士って危ういんですか?」とよく聞かれます。

すべての事務作業をAIが代行してくれる将来を私は歓迎してますよ。事務作業が税理士のメイン(主業)ではありません。現状では職員さんが担当してくれている仕事です。私は基本的には記帳代行を受けてません。仮に事務作業を全てAIが代替してくれるなら負担が減って顧問先の社長は喜んでくれるはずです。徳永さんは記帳代行受けてくれないから…というお客様の役に立てる将来もあり得るわけでして、笑。

技術革新は世の中を良くします。更なる進化で「税理士」という仕事がなくなったとしても人類発展の結果であり喜ばしいこと。人間がやらなくて済むことが増えたと捉えるべきですよね。税務会計の知識・経験は別のところで活かせば良いだけです。

税理士の中でも勉強しない(し続けない)人は技術革新に怯えることになるかもしれません。勉強大好きな人ばかりですから、その数は少ないでしょう。勉強(努力)の方向性さえ間違えなければ、どんな世の中になっても競争力は保ち続けられるはずです。トレンドを捉える(トレンド×会計税務)ことが大事かな~なんて思ってます。

今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!

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