個人事業主から法人成りした場合は支払う税目が変わります。申告・納付先も複数箇所になります。これまで(個人事業主時代)からいろいろと変わります。記事にしてみました。ご参考まで。
法人が支払う税金は?
法人税が掛かります。専門的に言うと①法人税②地方法人税③法人住民税④事業税⑤特別法人事業税が掛かります。③は儲けに関わらず掛かる「均等割」と儲けに対して掛かる法人税割があります。
※④に付加価値割、資本割という儲け以外に掛かるものがありますが特殊なので普通のスタートアップ企業は無視してもらって大丈夫です。
法人を作ったら「最低でも70,000円税金が掛かる(東京都)」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。当該70,000円は法人住民税均等割です。その他については儲けに対して掛かる税金と考えて構いません。
法人設立は月中になることがほとんどでしょう。この場合、設立初年度は均等割11か月分(64,100円)で済みます。その他消費税を納める義務があれば消費税も掛かります。
納付先が複数になる。
個人事業主の時は確定申告書を所轄の税務署に提出して完了、でしたよね。法人になると複数箇所に申告・納付する必要が出てきます。ほとんどのスタートアップ企業が事業所1つだと思うので最大3カ所に申告・納付する必要があります。
●法人税・地方法人税→所轄税務署
●事業税・特別法人事業税・法人住民税(県民税部分)→県税事務所
●法人住民税(市民税部分)→市役所
東京23区の場合は市役所部分がなく所轄税務署と都税事務所の2カ所のみで済みます。ご自身の納税地を確認してみてください。
申告・納付期限は?
バラバラです。法人は決算期を自由に決めることができるので確定申告のように申告期限と納付期限が一時期(2月16日~3月15日)に殺到することはありません。
申告・納付は個々の企業が定めた決算日から2か月以内と覚えてください。申告期限のみ1カ月延長することができますが納付期限は延長されないので実務上延長を利用することは少ないです。
多額の繰越欠損金がある、赤字見込などの理由があれば均等割のみ(税額が確定)となり利用するメリットが生まれます。該当する場合は検討してもよいかもしれません。期限が1カ月延びるのは経理部にとって非常にありがたい話なので。※延長には申請が必要です。
ただし、消費税も同じく納付期限の延長が認められません。消費税は所得が無くても(赤字でも)税額は確定しないので見込みで納税することとなり延滞税が発生する可能性があります。「免税事業者」であることも当該制度を利用する為の条件かもしれませんね。そうなると更に利用できる会社は少なくなります。やはり実務上、利用する機会は限定されるかと思います。
おわりに
個人事業主は会計期間が固定です。1月~12月の1年間。よって、全員が原則として2月16日~3月15日の確定申告期間に申告納付を行います。※コロナウィルスの影響で延長されたりします。
この期間は税務署も忙しい、税理士も忙しい、と会計業界にとって良いことはないので技術革新(DXとか?)により法人と同様に任意の会計期間が選択できるようにならないものかなという淡い願望が…。法人ができているのだから技術革新とか必要ないかもしれませんし。
現状では期限が一時期に殺到する、法人ほど収益力がないので報酬に期待できない(会計事務所側が赤字になる)などの理由で個人事業主さんの依頼をお断りする税理士は多い。残念ながら私も独立3年目ぐらいから法人成りする予定がある方又は一定額以上の予算がある方以外の依頼を受けることができなくなりました。時期が分散されればまだ対応可能だと思うんですけどね…。政治家の皆さん、国税庁の皆さん、是非ご検討ください!
また、延長の話もでました。経理部にとってはありがたい話と言いましたが税理士にとってはメリットはないんです…。会計事務所は1社のみ対応しているわけではありません。スケジュールが伸びたからと言って日々の作業量が減るわけではないからです。多くの場合、期限が延びた先の業務が混雑するだけだったりしますね。。。
ただし、私は希望があれば叶えてあげたいな~と思っています。企業の経理部に在籍したこともあるのでみなさんの苦労は痛いほど分かっております、笑。1カ月延びたらめちゃくちゃ嬉しいですよね。社長や顧問税理士に提案してみてください!
今日はここまで、また次回もよろしくお願いします!
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