結論から言うと独力で青色申告をする場合でも、簿記検定取得なんて必要ない。自分のビジネスに係る処理のみ慣れて(習得して)もらえれば、試験勉強のような広い知識は求められません。記事にしてみました。ご参考まで。
2014年~の改正がネックに
経理なんて面倒だしやりたくない!という方は白色申告をすれば(一部の方を除き)その煩わしさから解放されていた時代がありました。2013年まで白色申告者に記帳や帳簿保存義務がなかったからです。この最大の優位性が2014年崩れ去りました。白色申告をする人にも帳簿作成と保管を義務付ける改正が…。
こうなると、白色申告をするメリットは非常に薄くなります。どうせ帳簿作成するなら青色申告しましょう!というのが大多数の専門家の意見であり、私も概ねその意見に賛成です。
「青色申告なんてとんでもない、簿記の知識とか全くないし、専門家に頼む余裕も残念ながら…」で今日の本題となるわけです。
帳簿作成は確かに煩わしい。ただし、前述の通り白でも青でも帳簿作成をしなければならないので煩わしさはどうにもなりません。外部委託するか、経理職員を雇うか、つまり他人に任せるしか逃れる術はありません。これにはコスト負担が伴います。
自分でやりますか?他人に任せますか?これは個々人の判断になります。
簿記の知識が…
自分でやる場合に経済取引をどのように会計処理すればいいのかわからない、という不安はありますよね。
売上はご自身の商品のことなので迷うことは少ないでしょう。細かい点はさておき、納品時(引き渡し)やサービス提供が完了した時に売上計上すればOKです。青色申告で最大控除を受けたいのであれば、入金時ではないという点だけ押さえてください。
次に経費。勘定科目を間違えるのは大きな問題ではなく、その支出が経費になるかならないかがとても重要です。税額計算に影響があるからです。これは簿記資格を取得しても分かるようにはなりません。正しい勘定科目については勉強しますが、その支出が経費になるか、ならないかを判断させる問題はありません(グレーゾーンに正解は無いので試験に向きません)。
ネットを見ると「何でも経費になります!」という趣旨の記事があったりしますが、それは間違いなので鵜呑みにしないでください。一番は法令を理解して判断することです…がハードル高いので、判断に迷ったら専門家が書いている記事や書籍で判断しましょう。節税コンサルタントや税務コンサルタントと名乗る方々の情報は刺激的ですが、危険です。
何度も出てくる経費はそのうち判断に迷うこともなくなります。そして、ほとんどの個人事業主さんが頻出する経費は毎年同じ。最初は時間(調べたり・聞いたりする時間)が掛かりますが、ここを乗り越えればさほど恐れることもありません。
何とかして目的意識を持ちたい
最後に、何の為に日々の取引を記録するのでしょうか?
税金計算の為ですか?税務署の為でしょうか?こう思っているうちは「煩わしい」だけの存在となってしまい非常に勿体ないと思います。私自身学生時代に会計学を専攻する決め手となったのは、会計が「経済の実態を捉えるツール」になり得る(世の中の役に立つ)と信じたからです。
皆さんも自社の実態を知りたくありませんか?感覚的に事業経営するより取引記録を利用して目標達成度・損益の着地見込み、更には金額推移分析から世の中の変化を察知して将来行動に役立てる、などメリットは大いにありますよ。
帳簿作成を他人任せ(丸投げ)にしないことにより得られるメリットと前向きに捉え、データを有効利用してあげてくださいね。経験が増えれば増えるほど分析精度も上がってきます。
おわりに
会計ソフトさえ導入すれば誰でも青色申告ができる!みたいな広告宣伝を見ますが、税務相談に携わっている感覚からするとさすがにそれは言い過ぎじゃないか?と思います。かといって、冒頭で述べた通り簿記検定を取得する必要は全くありません。
簿記に触れたことのない方は優しめの(一番薄い)経理本を1冊購入してざっと眺めてください。何となくイメージがつかめたら会計ソフトに実際入力してみて、疑問点があれば都度ネットで調べる、で良いです。
時間もあるし簿記検定に興味がある!という方は是非受験してみてください。必要ないと言ったものの無駄にはなりません。ご参考までに自己の体験を話します。ちなみに、私は自他ともに認める凡人です。普通に大学生活を送りながら(遊びが中心)、3級は2週間、2級は2か月いずれも独学(市販テキストと問題集)でした。
受験勉強前半戦(3級・2級)は辛かったという記憶は特になく、とても楽しくやれました。サクサク解答出来て爽快です。簿記1級、税理士試験と進む(後半戦)につれて過酷さが増大し…うーん、思い出したくもありません、笑。後半戦の過酷さが前半の記憶を美化させているだけかもしれません。ただ、会計処理に慣れるという目的であれば3級で十分です。2級取得まで行くと会計事務所に就職できるレベル。皆さんの目的とはズレるでしょう。
上述でも触れましたが、目的意識を持って何とかして会計数値を役立てたいものですね。白色申告でも帳簿作成が必須になり、やらされている感のある方も多いと思いますがどうせやる(時間を掛ける)なら何かを得たいところです。
本日はここまで、また次回も宜しくお願いします!
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