原則そんな上手い話はありません、笑。相続税や贈与税の課税根拠(目的)を考えると当然です。格差是正・富の再配分機能としての役割があります。スネ夫くん一族がお金持ちであり続けられる社会でいいの?ダメですよねという背景があります。…とは言うもののという話を今回記事にしてみました。ご参考まで。
贈与税の仕組み
まずは冒頭相談の「少額」って何のこと?という方の為に少し贈与税の仕組みを解説します。例えば両親から子供へ財産を贈与した場合、贈与を受けた子供は贈与税の申告をしなければなりません。つまり、その贈与には税金が掛かる可能性があるということです。
贈与税の申告方法には①暦年課税か②相続時精算課税を選択できます。
今回ケース少額贈与の話は暦年課税を念頭に置いています。相続時精算課税は純粋な節税にはならず、相続まで課税を繰り延べる(支払時期をズラす)効果しかありません。
※相続時精算課税については省略します
暦年課税は1年間に受けた贈与の合計価額に対して税金が掛かります。ただし、現行法上は基礎控除があって超えなければ税金が掛からない、かつ、申告も必要なしです。基礎控除額は110万円。聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
少額ではなくてドーンと、とは1年間110万円でなくてもっと高額にできないか?という意味です。
特例があります
基礎控除分だけでは物足りない!もっと何かないの?という方の為に特例を3つご紹介します。要件に該当し、ニーズにも合致していれば検討してみてください。
①住宅取得等資金の贈与を受ける場合の特例
②教育資金の一括贈与の非課税制度
③結婚、子育て資金の一括贈与の非課税制度
子供や孫が住宅購入(増改築でもOK)を検討している、私立受験を検討している、結婚・出産が予測される(女性限定ではありません)などあれば大きな額を次世代に引き継ぐことが可能です。紙面の関係で①のみを次のブロックにて。冒頭相談ケースでは①を提案しました。②③は別の機会にします。
※道徳的な観点から子供や孫を甘やかすべきでは無い!という考えがあることも承知しています。相続対策における話として聞いて下さいね。
住宅取得等資金の非課税
両親や祖父母から住宅資金の援助をしてもらおうとする場合に適用の可能性ありです。適用要件はかなり細かく規定されているので詳細については顧問税理士や国税庁HPをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
大きく分けて受贈者(子供や孫)自身に係る要件と取得する家屋についての要件に分かれます。
20歳以上?所得が2000万円以下?特別の関係がある人からの取得ではない?日本に住所がある?などが受贈者自身に係る要件です。また、床面積240㎡以下?新築?中古でも20年以内?などが家屋についての要件です。
上記リンク4ページにわたり説明されています。当該記事で全てを網羅できないので経験則から述べます。それほどハードルは高くなく、住宅取得資金の贈与を受ける多くの方が適用可能と考えています。…が、実行する際には必ず適用要件を確認するor専門家に相談しましょう。
おわりに
今回は住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税について取り上げました。ちなみに要件を満たせば勝手に非課税となる訳では無い点に注意が必要です。贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までに贈与税申告をする必要があります(子や孫が申告)。
その際に要件を満たしていることを証明する戸籍や契約書なども一緒に提出します。贈与税申告の期限は所得税確定申告と同日と覚えていただければ結構です。確定申告をしていない会社員の方は馴染みがないかもしれませんが、申告をお忘れなく。
私は職業柄富裕層の方の相談を受けることが多いので特に珍しいとは思いませんが、世間的には基礎控除(110万円)を超えて次世代に贈与できる人は少数です。お金持ち限定の制度となっており、いつ縮小されてもおかしくはありません。
常々言っているとおり世論が味方につく増税はやりやすいです。これまでも富裕層をターゲットにした増税は繰り返し実施されてきました。良し悪しは別として岸田政権も金融所得課税への対応を含め格差是正に意欲的に見えます。※基礎控除(110万円)がある暦年課税を廃止する動きもあります。
ただし、住宅取得等資金の非課税は景気対策としての側面も強いので個人的には廃止にならないと予想します。住宅購入(非常に大きな買い物)への動機につながりますゆえ。縮小は十分あり得るので検討中の方は早めに動く、最新情報を確認する、という姿勢で臨みましょう。
②③についてはまた別の機会に。今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!
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