過去に青色申告のメリット・デメリットの記事を書きました。
>https://tokunagazeirishi.com/blue-declaration/
>https://tokunagazeirishi.com/is-it-okay-to-be-blue/
じゃあ白色は?となるのかなと。
リクエスト多かったので記事にしました。ご参考まで。
何もしなくていい訳ではない
青色に比べて負担が少ない・簡単、と書籍で紹介されていますが、会計処理について何もしなくていいわけではありません。一定の記帳義務が現在はあります。『現在』と言ったのは以前、所得300万円未満で白色申告をする人は記帳義務がありませんでした。
記帳しないで、どうやって税金計算するの?疑問に思いますよね。国税も同じ考えでして、平成26年以降は全員が記帳しなければならなくなりました。(結構最近です)
しかし、手間のかかる複式簿記による帳簿は要求されていません。家計簿をイメージして頂ければ十分です。いつ・いくら・どこから収入があって、いつ・いくら・どこへ経費の支出があったかを記載し、合計どのくらい儲かっているのかということが分かれば税金計算ができます。簡単ですよね。
ただし、簡単だからといって会計処理を貯めるのはやめましょう。勤務時代「今どんな感じですか?」と聞くと「何もやってません!年明けから始めます!」という方がいらっしゃいましたが、これではプロでも対策のしようがなく、できることが限られてしまいます。
青色と何が違うの?
記帳方法が簡便なことは上述しました。簡単であることがメリットですが、青色と比較したデメリットで主なところは下記。
①特別控除がない(青色なら最大65万円控除あり)
②家族へ給料を支払う場合に上限がある
③赤字を繰り越して将来の黒字と相殺できない。
青色のメリットを全て享受できるならば青色を検討すべきでしょう。税額の差は人によりますが、大きくなる可能性ありです。
また番外として信用面において差がでます。記帳が簡便で証拠資料の保管も青色ほど厳格ではないということは、税務署はもちろん金融機関・取引先からの信用度にも影響を及ぼします。借入を考えているならば信用面への配慮も重要です。金融機関の視点からすると、法人>青色申告>白色申告の順番になろうかと。
でも、やっぱり簡単です
経理が苦手で、今後も興味が持てない、これから勉強する気も起きない。けど、会計事務所への外注は考えていないという方にとって家計簿的な感覚でOKな白色申告は選択肢としてアリです(むしろ白色の方がよい)。
記帳方法についてですが、不特定多数のお客様に現金商売を行う事業(小売・飲食など)を営んでいる場合は、小規模であっても日々の取引数は膨大になります。1取引ごとに記帳しなくても問題ありません。1日合計で記帳してください。帳簿の保管も売上と経費のみが法定帳簿(義務)になり、簡便になってます。
法定帳簿の保管期間は7年間。よって形式上税務署は7年間遡ってチェックできることになっています。ただ、これまで7年前のものを見せてくださいと言われたことはありません。通常の税務調査では直近3年間の帳簿書類を見せてくださいと言われます。そこで、あまりにひどい、となれば更に遡ってとなるのかもしれません。私の経験では一度もないです(おそらくほとんどの税理士がそうかと)。
おわりに
どっちがいいの?とよく聞かれるので、このテーマ(関連含む)を何本か記事にしてきましたが『人それぞれ』が結論です。所得・家族構成・経理スキル・やる気などなど、みんな違うわけで一律に青がいい、白がいいとは言えません。
業界の話をすると会計事務所のクライアントさんに、ずっと白色で良いという方は少ないはずです。全てのケースに当てはまるわけではありませんが白色申告の方は、売上規模少なめ・経理処理は苦手なんだけど予算的に税理士はちょっと…が多いだろうと思われ、問い合わせ頂く機会が少ないからです。
また、会計事務所サイドの事情もあります。ずっと白色で良いクライアントさんより、青色申告→更には法人成り(法人設立)と成長意欲・成長見込のあるクライアントさんをより好むという側面があることは否めません。会計事務所も他の企業と同じく営利目的を持った企業であり、ボランティア活動を目的としているわけではありません。当然ながらより報酬を頂ける(頂けそうな)仕事を選択することになります。
「オタクはどうなの?」と言われれば、基本的には弊所も同じです(報酬のみが受託要素というわけではありませんけど)。私も商売人ですのでこの点はご容赦頂きたく存じます。
※税理士会を通して、開業税理士の多くが無料相談会・無料電話相談などに参加してます(もちろん私も毎年参加します)。税理士会全体としては社会貢献活動を推進していますので、お困りの方は是非ご利用ください。
青か白か人それぞれなので、情報収集をしてご自身の状況を分析した上で決定ください。どっちにしようか迷っている方も、届出期限はあるものの、いつでも変更可能なのでそんなに一大事なことではないですよ。安心してビジネスに打ち込んでください!
本日はここまで、次回も宜しくお願いします!
コメント