社会保険料ってどうやって決まるんですか?

人事

7月12日提出期限「算定基礎届」の時期がやってきましたね。そろそろ年金事務所からの資料が届いているのではないでしょうか?社会保険労務士さんと契約をしていなければ自分で作成する必要があります。そして、この届出をすることによって皆さんの社会保険料負担額が決定します。記事にしてみました。ご参考まで。

4月~6月分の給料を報告する

算定基礎届って何を届け出るの?と言う話から。

それは被保険者(社長や従業員さん)の社会保険料決定に必要な基礎数値を年金事務所へ報告しています。具体的には4月から6月分給料の数値です。

毎月給料から差し引かれる社会保険料は被保険者の「標準報酬月額」によって決まります。そして標準報酬月額は毎年見直される。昇給・降給があれば社会保険料負担も変わる、は皆さんも今までの経験で理解しているはずです。この算定基礎届をすることで標準報酬月額の見直しが図られる仕組みになっています。

上述が「定時決定」と言って毎年同じ時期に見直すもの。この他に「随時改定」というものもあります。定時決定が4月から6月の給料を基に決定するのに対して、期の途中に大幅な変動があればその都度改定が必要となります。次のブロックで説明します。

随時改定とは

昇格したことにより大幅に給与がUPした人もいるでしょう。逆に景気の悪化により大幅に下がった人も。大きな変動がある時には定時決定(7月)を待たずに改定が入ります。具体的な条件は3つ。

(1)固定的賃金に変動がある

(2)変動月から3か月間の平均月額がこれまでの標準報酬月額と2等級以上差がある

(3)3か月とも支払基礎日数が17日以上


正社員なら(2)に該当すれば改定が入るんだ、と頭の片隅にでも。等級って何?と思った方は下記リンクをご確認ください。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r3/ippan/r30213tokyo.pdf
(東京都)一番左の欄が等級です。2以上変動すれば大きな変動と見なされます。

今回は定時決定の話題がメインなのでこの辺で話を戻しますね。

いつから反映される?

定時決定の提出期限(令和3年は7月12日)までに提出された書類をもとにして、いつから社会保険料が変わるの?という話をします。

社会保険料は9月分から変わります。そして変更後の標準報酬月額は翌年8月までの計算の基礎となる。10月から新たな保険料が差し引かれているはずです。役員報酬を得ている法人経営者さんはご自身の給与明細を確認してみてください。

新しい等級によって健康保険料・厚生年金保険料(40歳以上の方は介護保険料も)が決められていることを確認できるかと。税金計算と同じで料率が変更することもあるので最新の一覧を確認することにはなりますが。

※給与ソフトを使わずに手計算で給与計算をしている方は注意です。保険料率、源泉所得税は変わることがあります。最新のものをご用意ください。個人的には給与ソフトの導入をおススメします。

おわりに

今日は労務の記事を書きました。社会保険手続の代理ができるのは税理士ではありません。社会保険労務士です。しかし、社長さん達の話を聞く限り社労士さんと契約をしている会社は多くない印象です。多くの経営者さんが自分で手続きを済ませているので、やろうと思えば「できる」と考えて良いでしょう。※従業員が多いと大変ですが。

社会保険料の算定基礎に通勤手当を含める点が源泉所得税計算と違うところで注意が必要です。同じ報酬であっても遠方から通勤している人の方が社会保険負担は重くなります。また、通貨ではなく現物支給も対象に。会社から食事や住宅を支給されている場合は加算します。

4月から6月に残業たくさんすると社会保険料が高くなるという話は本当です。基本給で判断するのではなく残業手当も含めて社会保険料は決定されるからです。他にも家族手当・役職手当・休業手当など各種手当が加算されます。これらはイメージ通りかもしれませんね。ちなみに出張手当は対象外です。なので節税アイテムとして出張手当は優秀なのです。

私自身の社会保険料負担体験を。転職すれば新しい標準報酬月額になるので社会保険料が変わります。私は転職回数2回。給料水準が据え置かれた事はないので2度とも社会保険料は変わっただろうと思われますが、勝手に差引かれているので気にしたことは無く…正しいかどうかの検証もしてません。プロとして失格ですね、笑。皆さんはしっかり計算が正しいかチェックしてください。これ以外は定時決定で毎年見直し。

随時改定は1度だけ。昇給(2等級未満)は何度かありましたが、随時改定(大幅な変動)に至ったのは役員に昇格したときの1度だけ。この時はさすがに前月の給与明細と差額を確認した覚えがあります。社会保険たくさん持ってかれるな…と。

オーナー経営者さんにとって社会保険料は従業員負担分だけでなく会社負担分も自分で出しているのと同じ。役員報酬(標準報酬月額)の約30%を負担する非常に重たいものです。役員報酬をいくらにするかは社会保険料負担を外して考えることはできません。

また、法人成りすべきかの判断にも社会保険を考慮するのは必須。個人事業主の場合、従業員が少ないと社会保険に加入する必要はなくコスト負担はその分減ります。面倒ですがシミュレーションする価値はあります。顧問税理士がいれば格安契約でない限り相談に乗ってくれると思います。相談してみてください。


今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!

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