私の場合、事業所得になりますか?

税金

片手間に少額な収入を得ている(つまり副業している)サラリーマンの方は増えてます。働き方改革の一環として政府も副業解禁を促進している、という時代背景からでしょう。事業所得でないならば雑所得という取り扱いになります。両者にどういった違いがあるのか?記事にしてみました。ご参考まで。

どうやって判定する?

結論を言うと明確な線引きはないです。明らかに単発の仕事であり、継続性が全くないということであれば雑所得になりますが、これも1年間何回継続していたら事業所得になるという明確な決まりはありません。他にも金額規模による判定(つまり売上規模)も言われていますが、これもいくらだったら…といった決まりはなく。業種、業界、経済状況など個別的要素が多々あって法令で一律に縛るのは不可能です。

※例えば、コロナ禍だったら〇〇円以上、とかいちいち法令で決めませんよね?これをやっていたら、膨大な量の取り決めが必要になってしまいますゆえ。よって「社会通念上」となり、曖昧な感じになるわけです。これは致し方ありません。世の中の常識で判断することになります。

今後も継続して商売を続ける気があって、実際に動いている、ということを根拠資料をもって説明できれば事業所得で良いと思いますよ。明確な線引きがない以上、自分自身で決めるしかありません。不安なら専門家に相談しましょう。

所得の取り扱いから言うと、事業所得となる方が優遇措置が用意されています。事実を捻じ曲げて事業所得とした場合には、税務調査でペナルティー(否認)を受けることになりますが、概ね上述を頭に置いて頂き説明のつく申告をして頂ければ大丈夫かと。

雑所得も同じような計算だけど…

事業所得も雑所得も<売上-必要経費>という計算方法に違いはありません。では、事業所得にしたい理由ってなんですか?という話になります。

●雑所得は青色申告ができません。つまり、青色申告の特典は受けられません。主な特典は下記。
・青色申告特別控除
・青色事業専従者給与
・損失の繰越、繰戻
・30万円未満の少額減価償却資産の特例

●雑所得は損益通算できません。つまり、商売で損失を被った場合、サラリーマンの方の給与所得と合算(相殺)して申告することはできません。

以上が、事業所得にしたい理由です。上述は雑所得の大きなデメリットです。雑所得のメリットと言ったら決算書or収支内訳書を提出しなくても良い点ぐらい。昔と違って会計ソフトがある為、大したメリットにはなりません。

赤字にならないし、所得も大した金額じゃない

会計ソフトを購入して青色申告しましょう!と言っているわけではありません。サラリーマンの方が副業する場合、給与所得以外の所得が20万円以下であれば、所得税の申告をする必要はありません。正確に言うと、職場で年末調整をしてもらい所得が確定していれば、少額な所得(20万円以下)は申告しなくてもよい。

この情報を聞いて、申告なんて面倒だし大して儲かっていないから青色申告のメリット感じないのでいいです~、という方も当然います。繰り越す損失もなく、青色申告特別控除を満額受ける所得もない、という事であればメリットは少なく、逆に決算書作成のデメリットのみ残ることになります。ご自身の状況を見て判断しましょう。

注意点があるとすれば申告不要なのは所得税のみ、という点です。住民税について、このような規定はありませんから少額でも所得があれば申告しなければなりません。市区町村の担当部署に行って説明を聞きながらでも良いので申告は必ずしましょう。認識違いで悪気はないと思いますが、無申告はペナルティーの対象になります。

結局のところ、所得を計算しなければならないのか…となりますよね。所得税の確定申告は住民税申告も兼ねていますので、この情報を聞いて確定申告しようかな~となる方もいます。話があっちこっち行ってすみません、笑。

おわりに

この仕事を20年もしていると決算書を作るのにそれほど苦痛を感じなくなりましたが、現在でも地味な作業が延々続くと…です。よって、お客さんの状況にもよりますけど記帳代行(つまり、請求書・レシート丸投げ)は積極的に受けない方向を取っています。

自分の会社だけであっても、この地味で慣れない決算書作りは大変で嫌なイメージを持つ経営者さんは多いはずです。ただし<売上‐必要経費>で所得を求めるという計算構造から日々の取引を記録することが欠かせません。これらの取引を集計した結果が決算書となり、申告書に添付する資料になります。

幸いなことにテクノロジーの発展はすごいもので通帳やクレジットカード明細は会計ソフトと連携できる時代になりました。私が業界に入った20年前では考えられなかったことです。地味で・大変で嫌だった手作業が、銀行入金&引落にする、会社経費用クレジットカードのみで経費支払を済ませるなど工夫すれば最小限の手間で決算書が完成します。小売店・飲食店もAirレジなどPOSレジアプリ利用で取引内容のデータ出力ができます。データさえあればなんでも連携できる世の中になりました(多少の加工は必要かもしれませんが)。

現金受取・現金支払が無くなると不正がしにくくなります。現金以外は記録が残ってしまうからです。これを不都合に感じる人がいるかもしれませんが、ごく少数でしょう。私は歓迎すべき流れだと思っています。売上除外・架空経費の計上(脱税)がなくなります。政府の後押しと、非接触を強く求められる状況下(コロナ禍)、完全キャッシュレス時代は思っていたより早く来るのかもしれませんね。

ちなみに、記帳代行を積極的に受けていない件について補足。我が事務所は高級ブティック路線を目指している、高付加価値を提供している、という強い自負があるわけではなく、笑。至って単純な話です。記帳代行は時間が掛ります。1人で受けられる件数に限りがあります。身体に無理のない範囲で長く現役生活を送りたいを体現しているだけ、になります。

もちろん別の理由もあります。ご自身で会計処理をすることで儲けの内容(原因)を知ることのメリットは大いにあると思っています。どれだけ儲かっているか結果だけ知る(丸投げ)より原因がつかめた方が良いですよね?

本日はここまで、また次回も宜しくお願いします!

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