私が主にお手伝いするのは申告(準確定申告と相続税申告)部分ですが、それ以外にもやることは沢山あります。それぞれ期限が決まっていてのんびりしていると過ぎてしまうので注意が必要です。記事にしてみました。ご参考まで。
最初の2週間
気持ちも落ち着かない状況下と思われますが遺族がやるべきことを記載します。
①7日以内に死亡届を提出:医師の死亡診断書と併せて役所に提出します。
②10日以内に厚生年金受給者死亡届を提出:年金事務所に提出します。未支給年金があれば請求する。
※国民年金の場合は14日以内です。
③14日以内に健康保険・介護保険資格喪失届を提出:役所に提出します。保険証の事業者への返却も。
※被扶養者がいる場合には国民健康保険への加入や他の者の扶養に入る手続が必要
④14日以内に世帯主変更届の提出
⑤14日前後で公共料金の名義変更:期限が決められているわけではないが、早めに対応したい。
※クレジットカードなどの解約も必要。
葬儀社さんからの案内があるかもしれません。ただ、無くても手続きは必要なので最初の2週間でやることが結構あったな、ぐらいは覚えておくと良いでしょう。
相続放棄や限定承認にも期限がある
まず相続財産の全体像を把握する必要があります。プラスの財産のみならず借金など負の財産も必ず確認しましょう。仮に負の財産が多いなら相続放棄や限定承認の選択を検討する必要があります。そして、この相続放棄や限定承認は3ヵ月以内に手続きを済ませなければなりません。
ということは、遺言書の有無・相続人の人数・財産目録の作成など判断材料となるものは3ヵ月以内に揃えておく必要があるという事です。財産債務の洗い出しは100%正確でなくても金額の大きなものは全て押さえたいですね。でないと判断を誤る可能性があります。
忘れやすいのは名義預金(名義は別人でも実質的にはお亡くなりになった方のもの)でしょうか。名義が異なる預金口座を相続財産として認識していない人も多いので注意が必要です。できれば故人が存命の内からどのような財産債務があるかコミュニケーションを密にしておきたいところ。ですが、、、難しい面もあるかもしれません。
いろんな現場で苦労を見てきているはずの私も正確に両親の財産債務を把握できていません。話題としてうまく切り出せるタイミングがあれば切り出そうかなとは常に思ってますが…。
準確定申告と相続税申告
私がお手伝いするメイン部分になります。
亡くなった方に確定申告が必要な場合、4ヵ月以内に税務署に所得税申告をする必要があります。自営業だった(事業所得がある)、給与収入が2000万円以上だった、不動産所得や譲渡所得があった場合などが該当します。
相続人がサラリーマンで自身は確定申告しないケースでは準確定申告が必要であることに気付づかない場合も多々あります。税務署からの案内(お知らせ)は必ず確認するようにしましょう。ちなみに生命保険の収入は相続税申告に影響を与えるものであり準確定申告対象となる故人の所得ではありません。
次に相続税申告についてです。10ヵ月以内で税務署に申告します。10ヵ月あれば余裕かと思うでしょう。経験上、遺言書があれば比較的スムーズに進みますが、どのように財産を分割するか決まっていないケースは遺産分割協議に時間が掛り余裕はありません。結構な確率で話がまとまらないのです。
グローバル経済が進展し海外に住んでいる相続人がいたりすると尚更遺産分割協議に時間が掛ります。よって私は社長さん達に遺言書作成をおススメしてます。後に残された者に負担を掛けない為にもご検討ください。
おわりに
遺産分割協議の話が出たのでもう少し話して今日は終わろうかと思います。
「結構な確率でまとまらない」は実務上とてもよく感じます。兄弟姉妹の仲は良好だった→絶縁状態になった、は対岸の火事ではないんですよ。こんなはずではなかったと悔やんでいる方をたくさん見てきました。
相続時の年齢を考えると相続人はそれぞれ独立してそれぞれの家庭があります。誰だって資産が貰えるなら貰いたいんです。皆さんも自分に問いかけてみてください。子供の学費、老後資金への不安などなど、、、資産は無いよりあった方が絶対にいい。
そして誰かが我慢すれば、一方で誰かが得をするという構図も争いが起きやすい原因です。双方ともに弁護士を立てて泥沼に…もうこの兄弟姉妹は一生会話することがないかもしれないなぁと残念に思う現場に出会ってきました。
税理士は弁護士さんのようにどちらかの味方になって一方を勝たせようと戦っているわけではありません。本音を言えば遺産分割協議の話合いを早くまとめてもらって期限内に(早く)相続税申告したい、のです。だから揉めそうな気配が濃厚となれば顧問先の相続であっても受託しない方針の事務所もあります。精神的・時間的コストを含めるときつい仕事になりますからね。
この記事を読んでくださった読者の皆さんには重ねて遺言書の作成をおススメしたいと思います。相続税が発生しなくても作成した方が良い。税金が発生しない(財産が多くない)から揉めないと思ったら、それは違います。理由は上記の通り少なくても貰えるものがあれば欲しいが本音だからです。この件に関しては「我が家は大丈夫」と楽観的に見ない方が良い、と考えてます。
今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!
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