本当に「青」でいいんですか?

税金

以前、個人事業主の青色申告について書きました。
https://tokunagazeirishi.com/blue-declaration/
この時は主にメリットについて書きました。デメリットってどんなことが考えられますか?という質問も多いです。今回記事にしてみました。ご参考まで。

事務処理が大変

経理なんてやったことない、という人が記帳する(会計帳簿を作る)ことは結構大変です。青色申告は損益計算書と貸借対照表を申告書に添付して提出しなければならず、これらを作成するには日々の取引を複式簿記で記帳する必要があります。

複式簿記?何それ、ですよね。簿記検定の勉強をしたことない人が自力で複式簿記による記帳に挑戦しようとしてもハードルが高く、また会計・経理にそれほど興味もない、となれば税理士に頼むしかないか~となるでしょう。この場合の注意点が、青色申告により得られるメリット(節税効果)より税理士報酬(コスト)が上回ることもあるという点です。白色の方がトータルコストは安かった、となるかもしれません。

外注する場合には、依頼することにより自分で処理しなくて済む(時間の節約)、プロに依頼することによる安心感(所得控除の適用漏れ、最適な節税策)などを考慮して、いくらなら支払えるのか慎重な検討が必要でしょう。

家計簿とは違います

複式簿記に少し触れます。経理経験のない方がつまづく点は発生主義による会計処理かなと。

今まで一度は小遣い帳や家計簿を付けたことがある、という人は多いのではないでしょうか。その際は現金が入ってきたor現金が減った日付で取引内容・金額を記入するというスタイルでした。このような会計処理を現金主義と言います。青色申告特別控除は65万円と多くの方が認識していると推測しますが、この現金主義による申告は控除額が10万円。控除額に55万円も差が出てしまうので、できれば発生主義による会計処理をしたいところです。

慣れてくれば難しくないと言うものの、勉強は多少必要です。発生主義は現預金の入金や出金に係わらず取引が発生した時点で収益と費用を認識する会計処理です。例えば、売上で商品の引き渡しやサービス提供は完了しているが入金は翌月末などよくある話です。この場合は商品の引き渡し時点、サービス提供が完了した時点で売上を計上します。経費計上についても基本的には同じ考え方です。実践的な勉強は書籍などを参考にしてもらいたく。ここではイメージだけに留めます。

発生主義による記帳は会計の勉強が少し必要、という点でデメリットになるでしょう。小遣い帳形式(現金主義)であれば10万円控除となり、青色申告の特典は目減りします。

税務署が検証しやすい

青色申告の特典を受けるためには帳簿や証拠書類の整備が必要です。これら帳簿や証拠書類があることによって税務署は経理状況の検証が容易になります。不正のチェックがしやすくなるということです。

白色申告では収支内訳書(損益計算書)しか作成しないので、収入が漏れていたとしても「ついつい、忘れちゃいました~」と言えます。しかし、貸借対照表の作成義務がある青色申告の場合、収入に対応する預金増加や現金増加も管理する必要があります。預金通帳や現金出納帳などを見れば増加していることはわかってますよね?うっかりしてましたとかありえませんよね?となり不正を疑われます。

とは言うものの、経験上ほとんどの方は正しく申告しようとしています。『税務署が検証しやすい』点を嫌って青色申告しない、は多くないのでは?と私は思います。また、これを根拠に白色申告を選択する方との仕事は税理士としては避けたい、というのが本音です。

おわりに

青色申告特別控除65万円と上述しましたが、改正により令和2年分(令和3年3月15日申告期限分)から55万円に変更されます。電子帳簿保存をするか、e-Taxによる申告をすれば据え置きの65万円なので対応可能な方は是非検討してください。

青色申告の特典と同じで、国は誘導したい方向性があって賛同してくれる人にはメリットを与える、ということをよくやります。税金以外でもマイナポイント事業が7月1日申込受付が始まりました。政府(国)はマイナンバーカードを作って欲しいんです。

ではメリットを与えてまで電子帳簿やe-Taxをしてもらいたい理由は?と言えば、やはり税務行政コストの削減だと思います。電子帳簿の方が税務署はチェックしやすいし、電子申告(e-Tax)してくれれば自動的に国税庁管理サーバにデータが保存され、ビッグデータとなって利用価値が飛躍的に上がります。書面提出されたものを税務職員がデータ入力するとしたら膨大な時間とコストが掛かります。電子申告は国税サイドに非常にありがたい制度です。すでに大法人(資本金の額等が1億円超の法人)は電子申告が義務化されました。いずれ全ての法人・個人事業主が義務化対象となる日が来るかもしれません。

特にやましいことがないならe-Taxもして、マイナンバーカードも作って素直にメリットを享受する、で良いのではないでしょうか。手のひらで踊らされている!相手の思うツボだ!…と意地を張らないように、笑。知られてまずいことがあるなら別ですが。

本日はここまで、また次回宜しくお願いします!

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