業界がざわついています。昨年4月最高裁判決についてです。通常土地評価は路線価が付されている地域については当該路線価を基に各種調整を行い評価します。この常識が覆される事態が発生しました。路線価ではなく「不動産鑑定評価」によって課税するのが妥当という判決が下されたのです。記事にしてみました。ご参考まで。
財産評価基本通達6項の存在が…
通常路線価が付されている地域は路線価に基づき評価する、と上述しました。では異常な時はあるのか?という疑問がでてきますよね。通達は異常事態を想定しており通常の評価を行うことが「著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する」(財産評価基本通達6項)としています。最高裁判決はこちらの適用を認めました。
通達解釈の場面で頻出する「著しく」。この曖昧な表現が争い(裁判)を起こします。明確に線引きされていない為、ケースバイケースで判断するしかありません。この金額まではOK!と規定してしまうとギリギリを狙う取引が横行してしまうのでこれはこれで致し方ないかなと。
納税者と国税の意見が対立すれば最終的には裁判で決着することになります。
最高裁判決の論点はどこにある?
上記最高裁で通達6項が適用されてしまった経緯を確認するとご自身の対策にとても役に立ちます。主な論点は以下。
①相続発生直前購入
②購入→売却までの期間が短い
③銀行のメモ
④取得価格・鑑定評価との差が大きい
一つ一つ確認します。
①被相続人(亡くなった方)が90歳を超えてからの不動産購入。同時期にお孫さんを養子縁組する対策も行っており節税目的の不動産購入と判断される一因になりました。
②購入は被相続人が90歳を超えてから、売却は相続開始(亡くなった日)から9カ月後と不動産所有期間が短い点も節税目的と判断される一因になりました。
③銀行貸出稟議書に「相続対策」と書いてあった。。。これは不運です。銀行もそんなストレートに書かなくとも、、、という感じでしょうか。こちら節税目的と判断される大きな要因となったかと。
④路線価による評価と不動産鑑定評価で4倍近く開きがあった。課税の公平の観点から「著しく不適当」と判断される一因になりました。
おわりに
いかがでしたか?節税目的で不動産を購入するなんてよくある話で不動産販売会社もそれを売りに営業してきたりしますよね?だから業界はこの判決にざわざわしているわけです。そんなこと言ったら全て基本通達6項が適用されてしまうではないか、と。
ただし上述論点を再度確認してみてください。これらを総合的に判断した結果「著しく不適当」となったと私は思います。めったやたらと基本通達6項が適用されることはないと考えます。最高裁からの教訓を活かして対策を考えましょう。
ありきたりで専門家なら誰もが注意喚起するようなことではありますが、だからこそ重要なことだったりします。何事も基本が大事です。
●相続対策は直前ではなく早めに始める
●建前上は節税目的と言わない(社会人ですから本音と建前はしっかり使い分けましょう、笑。)
●相続後すぐに売却しない
未成年相続人の方がいたらごめんなさい。未成年であっても本音は隠してくださいね。税務署も税金のプロです。不動産購入が相続税計算において節税になることは当然知っています。納税者が露骨に節税目的であることを打ち出すと「租税回避行為」とみなされ「課税の公平性」という税の大原則から基本通達6項適用という流れを生む可能性があります。この点、重々気を付けましょう。
今日はここまでまた次回も宜しくお願いします!
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