厳密に言えば、返すだけではありません。逆に不足額を回収しなければならないときもあります。
今年もこの時期がやってきましたね。年末調整について記事にしてみました。ご参考まで
スケジュール感について
社長しか事務をやらないor事務員さんを雇っている、従業員さんが多いor少ないで期限のタイトさが変わってきますが、おおよそ一般的な会社さんの話をします。例えば25日給料日の場合。
①12月1日:書類を従業員さんに配布(扶養控除等申告書、保険料控除申告書など)
②12月10日ぐらいまで:書類を回収
③12月15日ぐらいまで:提出書類を確認、不備があれば各人に連絡
④12月20日ぐらいまで:書類作成(源泉徴収簿、源泉徴収票、年末調整後の給与明細など)
⑤12月25日:給与の支払(源泉徴収票を同封)
⑥翌年1月10日or20日まで:源泉所得税の納付書作成&納付 ※納期の特例を適用している場合が20日まで)
以上です。
これじゃ、期間がタイトすぎるという場合は①を早めて全体的に前倒しすれば宜しいかと。ただし、保険料控除証明書、住宅ローン残高証明書といった証明書類の入手時期より期限を早めることはできません。従業員さんも入手していないものは提出しようがありませんので。④のところがポイントでしょう。どうやって書類作成するの?それが知りたいんですけど、となります。次のブロックで。
現実的には給与計算ソフトを導入すべき
会計事務所に給料計算や年末調整業務を依頼する場合にはソフトを導入する必要はありません。また、給与計算は社会保険労務士さんに依頼する会社も多いです。この分野の専門家は税理士と社会保険労務士です。
外部専門家に依頼しない場合、給与計算ソフトを導入しましょう。手書きは知識があっても正直厳しいです。改正が頻繁に入ります。社長にとって専門外であろう知識を沢山覚えなければなりません。給料は従業員さんにとって最も関心のある事項です。「間違えました、ごめんなさい」を連発することはできません。「この会社、大丈夫?」となってしまいます。
社長自身の貴重な時間を当該業務に割くべきではないと思います。ソフトは改正に対応しますし、最低限入力すべき事項を入力してあれば必要書類も自動作成されます。パソコンを持っているなら投資額はサポート(メール・電話)がついて年間3万円程度です。余った時間を本業に専念したほうが有益ではありませんか?パソコンが無ければパソコンも購入しましょう。もちろん給与計算ソフトもパソコンも経費(損金)になります。
生産性向上のための投資は積極的にすべきです。結果的に会社の利益につながります。ソフトを導入しても、なお、時間が足りない!となると、いよいよ専門家の出番になります。自分のニーズに合った会計事務所を探して依頼ください。
めちゃくちゃ忙しくなって給与計算どころではないんです!という嬉しい悲鳴を我々は待っています。
といっても概要ぐらいは…
そうですよね。機械任せにするとしても概要ぐらいは抑えておきたいですよね。下記に。
簡単に言うと、会社が従業員さんの確定申告をしてあげています。個人事業主であれば自分の年間の所得(事業所得・不動産所得・雑所得など)を算出して、もろもろ所得控除を差し引き、納税額を自分自身で計算しなければなりません。一方で、サラリーマン(1つの会社の給与所得のみ)の所得税は会社が代わりに算出してくれます。保険料控除・配偶者控除・住宅ローン控除(2年目以降)については年末調整手続きによって代行してもらえる、従業員さんにとってはとても助かる話です。※医療費控除・雑損控除など年末調整で対応できないものもあります。
個人事業主が確定申告代行を外部に依頼すると報酬が発生します。…が、会社が従業員さんの所得税計算をしてあげても報酬は発生しません。対価がないので負担だけが残ることになります。従業員さんにあなたの所得税を計算してあげたので給料から〇〇円差し引きますね、などと言ったら怒られるor辞めます、笑。私にも勤務時代があったわけですが「当たり前のもの」として享受していました。従業員の立場からするとこのような視点になります。
よって、年末調整は経営者として雇用をする以上、負担をしなければいけない業務(責務)になります。直接の支払(給料)以外にも負担増はあると認識してください。雇用せずに全てを外注ですませる、という手もありますが直接雇用を考えているのであればこの負担は避けようがありません。
おわりに
月々の給料から源泉所得税を徴収して期限までに納付→各人の所得税を計算し過不足額を確定させて12月or1月の給料を調整、が大まかな流れです。言葉にすると簡単ですが…結構大変です。これに社会保険料や住民税なども加わります。一人社長さんは「雇用する」って手間が掛かるな、という印象を持たれたのではないでしょうか。家族従業員だけであれば間違ってもクレームにはなりませんが、他人を雇うとそういう訳にはいきません。それぞれの生活が懸かっていますので。
これらの苦労を考慮しても会社を大きく成長させたいなら「雇用」が不可欠です。一人でやれることには限界があるからです。例えば、私は成長ではなく「一人」を選択しました。すると、大いに限界を感じます。受託件数・会社規模・外国語対応・IPO対応・連結対応などに制約があって全てのお客様の要望に応えることができません。社会貢献という意味では大規模会計事務所の足元にも及びません。より大きな社会貢献を目指すのであれば大きな組織を作らなければなりません。これは社長の考え方次第になるでしょう。
ちなみに私は、世の中の会計税務に係るニーズを全て自分が満たす必要はない、と割り切っています。現状の自分でお役に立てる仕事(目の前のこと)に全力を尽くすのみです。やれることを全力でやってたら周辺の仕事もできるようになった、という形が理想かなと思ってます。
こういう選択をしたヤツもいますので、社長の皆さんも何がなんでも成長しなければならない!とあまり根を詰めなくても良いのではないでしょうか。本屋に行けば急成長している社長の自伝など自己啓発本で溢れていて、焦る気持ちもあるかもしれません。…が、自分は自分であって今できることを一歩一歩やっていくしかないはずです。主に自分に言ってます、笑。
※従業員さん向けに補足です。上記で「1つの会社の」と書きました。2ヵ所以上の会社から給料を貰っている場合は確定申告をしないといけません。それぞれの経理部が連携して所得税を確定させてくれる、といったところまではしてくれませんのでご注意を。1つの会社であっても年収が2,000万円を超えたり、副業収入20万円超の場合も確定申告が必要です。
本日はここまで、また次回も宜しくお願いします!
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