決算書って読めた方がいいですか?

経理

人から、ああだこうだと解説を受けてもそれが間違っている可能性(又は別の見解)だってありますよね?知らなければ間違いに気付けないし、別の見解に立つこともできません。自分自身で理解して考えることができた方が良いです。記事にしてみました。ご参考まで。

会社の活動を記録したもの

冒頭の相談をされる方は「決算書が読めると何がいいの?」と思っているはず。

決算書とは?から話をします。決算書は会社の成績表と言われています。日々の経済活動を帳簿に記録して集計された結果が決算書。上場企業は投資家や債権者へ一定期間ごとに決算書を公表することになっています。

投資家・債権者(金融機関など)はこの公表された成績表を見て何らかの判断を下しています。具体的には「いくら儲かったか」「倒産危機はないか」「成長性はあるか」など。プラスのジャッジがなされるのはもちろん決算内容が良い(成績が良い)会社です。彼らは正しい判断をする為に決算書を読む力が必要とされていると言えるでしょう。

同じことで、中小企業経営者の皆さんも決算書を読めると自社の成績がどうなっているのかが分かります。外部からどう見えるか分かると、融資を受けるためにはどうしたらよいかなどの行動指針の策定がしやすくなりますよ。

貸借対照表には何が?

参考書には「会社の財政状態を示す」と書かれています。財政状態って…となるかもしれませんので説明を加えます。

バランスシートと言われるぐらいなので何かがバランスしてます。何と何が?というと資産vs負債+純資産でバランスを取っています。それぞれの項目はイメージできるのではないでしょうか。

資産…現預金、売上の未回収分、在庫、建物、機械、車両など
負債…仕入の未払分、借金、経費の未払分、預り金(従業員の社会保険料など)など
純資産…資本金(個人の場合は元入金)過去の利益

これらの内訳をみて、この会社は現預金〇〇円あって売掛金回収サイクルが2か月で…だったらこれぐらいの負債ならOKか、とか逆に固定資産(建物・土地・機械・車両など)に偏っていて現金化は難しいから資金繰り大丈夫か?などなど、分析していくわけです。

資産がたくさんあっても固定資産は「換金しにくい」「時価と貸借対照表価額が大きく乖離している可能性がある」の2点に注意が必要です。取得時の購入価格から減価償却費を控除した額が貸借対照表価額なので実際の中古市場価額とは異なることの方が多いです。

仮に、含み益があったとしても現金化するにはハードルが高いでしょう。投資用資産であれば売却できますが事業用資産は簡単に売却できないからです。以上がかなりシンプルに説明した貸借対照表の見方です。また、当然ですが資産より負債の方が多い(債務超過)状態は倒産危機にある、と言ってよいです。

損益計算書は?

参考書では「経営成績を示す」となっています。構成としては収益から費用を控除して利益を求める形です。どれぐらい売れた?コストはどれぐらい?…で儲けは?が分かります。最終的な利益の部分だけを気にする方もいますが、それだけでは十分とは言えません。

売上規模に対してどれぐらいの利益が得られているかを気にした方が良いです。業務内容に大幅な変更がない限り売上規模が大きくなれば比例して利益も増えるはずですよね?にもかかわらず利益がそれほど…という場合には何か問題があります。

材料費の高騰?人件費がかかった?地代が上がった?などなど、その原因を探っていきましょう。どこかにヒントが隠れているはずです。原因が分かれば改善・対策に入れます。利益が増えた万歳!利益が減った残念!では非常に勿体ないです。

※別の観点から注意喚起を。この視点で税務署も見てきますので売上を抜く(売上除外)行為は絶対しない方がよいです。バレます。「ん…何か変わったな?」→「調査に行こうか」という動機を彼らに与えることになります。

おわりに

中小企業ではキャッシュフロー計算書を作成している会社は少ないと思います。キャッシュフロー計算書とは現金(同等物を含む)増減の原因を示す表です。貸借対照表や損益計算書では表せない部分を補完しています。

皆さん「黒字倒産」という言葉は聞いたことがあるかと思います。発生主義による会計処理は入金ベースで売上を計上しません。商品を引き渡した時、サービスを提供した時に売上を計上します。にもかかわらず入金が極端な話で半年後だったらどうなるでしょうか?毎月返済の借入金があれば資金が枯渇するかもしれません。つなぎ融資が受けられなければ黒字であっても倒産します。

貸借対照表に記載されている現金預金が借入によるものなのか、投資家の出資によるものなのか、利益によるものなのか、など原因を把握した方が良いです。それを示すのがキャッシュフロー計算書だと考えて頂ければ概ねOKです。上場企業はキャッシュフロー計算書を投資家や債権者に提示する必要がありますが、中小企業では強制されていません。

実際に作成することは無いと思いますが、この視点が大事(だから投資家等に提供する)という事は理解して頂き、当社の現金の出所は?という事を常に意識しましょう。経営の安全性を高めることに繋がります。

本日はここまで、また次回も宜しくお願いします!

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