現在は半ば強制的に移動が少なくなってますが、将来を考えてみても移動ゼロとはならないんじゃないかと思ってます。近場から海外まで、移動手段もいろいろ。これら移動に伴う費用についての質問も多いです。どこまでいいの?と。社会通念(常識的な範囲)、プライベート部分、がポイントです。論点も多いので今回の記事では3つだけ。
Suica、PASMOの利用
経済実態に即して会計処理するならチャージをした時点ではまだ移動していない為、前払であり費用になりません。PASMOで入場し、目的地改札をピッと出た時に支払が確定し「旅費交通費」を計上する、が正しい処理となります。
ただ、移動の多い人が毎回こんなことするのは手間ですよね。運賃いくらだっけ?とネットで調べないとですし…。なので、仕事(移動)用Suica・PASMOを作ってチャージした時点で旅費交通費を計上してOKです。
仕事用を作るのは手間を省くため。もし他の支払が混ざっているとチャージ時点で計上した旅費交通費の科目変更(消耗品費・会議費などへ)が必要となるし、プライベートの支払があれば除外する処理をしなければなりません。結局手間がかかってしまいます。
税務調査では、鉄道系電子マネーの利用はプライベート利用がないことを示す必要があります。利用履歴を発行して証拠を残し、もしプライベート利用のものが混ざっていたら旅費交通費から除いておきましょう。利用履歴は駅の券売機で発行できます。
また、年末に多額のチャージをして、明らかに未利用でしょ、と思われる旅費交通費も計上するのはやめましょう。見ればすぐに分かります。
チケットショップでの購入
移動に新幹線を利用する方も多いのではないでしょうか。その際に切符をチケットショップで、という話をよく聞きます。少しでも安い方がいいですからね。この場合の旅費交通費は正規の料金ではなく、もちろん購入金額としなければいけません。
新幹線は交通費の中でも高額な部類に入るので✔ポイントになりやすいです。しっかり領収書を発行してもらって、行先・目的・仕事との関連性を記録しておきましょう。説明を求められたら回答できるようにしたいです。
複数回新幹線を利用するからと回数券を購入することもあります。鉄道系電子マネーと同様、本来は使った時点で経費になります。金額が高額なので未利用分を経費に計上している(買った時点で経費にしている)のであれば決算書作成時には「貯蔵品」勘定(資産)に振り替えましょう。
海外出張は?
旅費交通費で最も高額支出でしょう→→→だから、最も✔されやすいと思ってください。プライベート目的ではない、という証拠資料が必須です。必ず行先・目的・仕事との関連性を記録しましょう。「出張行程表テンプレート」とネット検索すれば沢山でてきます。好みのもので作成して頂ければ結構です。
でも、仕事ついでに少しは観光とかするでしょ?と思うのは自然なこと。そこはしっかり配慮されているので大丈夫です。少しぐらいの観光なら全額経費にしてOK。常識の範囲で判断してください。
家族旅行を兼ねて、も多いはずです。配偶者が専従者(仕事を手伝っていると税務上認められている人)なら、仕事上必要と認められる範囲は経費になります。専従者ではない子供の分は認められません。全額経費計上しているのであれば除外する処理を入れましょう。また旅行期間の前半のみ仕事で後半はプライベート(逆も然り)の場合は日数割合で計上します。10日間のうち6日間仕事なら60%という具合に。
どこにいても食事は必要ですから家事費(生活費)にあたり出張中だからといって経費になりません。取引先との会議や会食はなります。これは国内でも同様です。
おわりに
会計事務所は近距離移動がほとんどの地域性が高い業種です。遠方のお客様は少なく、地方に工場や倉庫が必要な職種でもない為、出張はほぼありません。ましてや国際税務専門の事務所とかでない限り海外はもっと無いでしょう。ちなみに私は13年間の会計事務所勤務で1度も出張したことないです。
これは独立してからも同じ。セミナーを日本各地で開催している人気税理士さんもいらっしゃいますが、私にまだそのオファーは届いてないようです、笑。
学生時代の友人たちが、世界を股にかけて仕事で活躍し各地お土産買ってきてくれ、現地の話をしている姿を見るとカッコいい!羨ましい!と…。隣の畑は青く見えるものです。無理くり仕事に結びつけて移動してやろうかな、と思いますが…辞めときます。
この『無理くり』感が否めないときに税務署から「それはちょっと…」と苦言をを呈され、修正申告を勧奨されることになります。要注意です!
※テレワーク・リモートワークが完全定着したら、地域性の高かった業界にも変化が起きそうです。距離的要素(近さ)の優位性が薄れ、オフィス市場やそこに通勤する従業員のマンション・戸建て・賃貸住宅需要にも変化がおきるでしょう。ポツンと一軒家に出てくるような場所でもネット環境さえ整えば仕事ができ、かつ、固定費(家賃)の関係で価格競争力を持つことになります。企業戦略が変わりますね確実に。私の予想に反して移動しない世の中が来るのかもしれません。
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