子供に株を譲渡したいんですけど

今回相談者さんの言う「株」は市場で売買される上場株式ではありません。自身がオーナーを務める同族法人の株式を子供に譲渡したいという相談です。専門用語でいうところの非上場株式になります。非上場株式の譲渡も贈与税の対象となる為、1株当たりの評価額を算出しなければなりません。記事にしてみました。ご参考まで。

オーナー企業の評価は簡単ではありません

上場株式には市場があります。東証プライム、東証スタンダードなどです。市場があれば評価額を算定するのは簡単です。「市場価格」をそのまま用いれば良いからです。一方で、市場が存在しない「非上場株式」の評価は簡単ではありません。一定のルールに基づいて1株当たりの評価額を算定します。

当該一定の方法について詳細に書くとスペースが全然足りないので概要のみ紹介します。
・原則的な評価方法と特例がある。
・特例による評価の方が簡単だが、適用できるのは同族株主等以外の株主に限られる。
・今回の相談者さんのように同族会社オーナーさんは原則的評価を適用。

税理士に相談があるケースの99%は同族会社(オーナー企業)の株についてです。よって今回は原則的な方法を掘り下げることとします。

原則的な評価方法

皆さんがワード検索することを想定して専門用語にて紹介します。原則的な評価方法は2つあり「類似業種比準方式」「純資産価額方式」です。前者が類似する上場企業との比較から株価を算定する方法、後者が自社の資産負債を財産評価基本通達に基づき評価した上で1株当たりの価値を算定する方法です。

2つ評価方法があるとどっちで評価するの?どっちでもいいの?という疑問が沸くかと思います。残念ながらどちらを採用するかは任意ではなく会社規模に応じて決定されます。具体的には会社を大・中・小に区分し、大会社は類似業種比準方式、小会社は純資産価額方式、中会社は両者の折衷となります。
※オーナー会社であっても大企業に近づくほど同種同業の上場企業に類似するはずだ、という考え

これらの評価方法によって算出した1株当たりの株価に譲渡株数を乗じて贈与額を算定することになります。もちろん非課税枠内であれば贈与税は掛かりません。長期間を掛けて次世代に引き継ぐことも可能ですが都度1株当たりの評価額を算出することになります。

おわりに

紙面の関係上概要のみ説明しましたが皆様どう思われたでしょうか?「さっぱりわかりません!」という方が多いのではないでしょうか。おおよそ理解したのであとは自分で調べて算定してみます!という経営者さんに出会ったことはないのでご安心ください、笑。非上場株式の評価は専門家であっても、ある程度の時間を掛けて慎重に検討します。

私のお客様はこれまでの職歴(一貫して不動産関係の税務に従事)からか不動産所有されている社長が多く更に複雑です。なぜなら、資産負債を財産評価基本通達に基づいて評価しなければならないからです。つまり、相続税評価額を算出します。不動産は現金や預金、上場株式のように評価時点の金額が簡単に判明するものではありません。こちらも一定のルールに基づき評価しなければならないのです。

以上のように、一定ルールに基づいた評価が多く、このルールについて調査・検討が必要となる為、非上場株式の評価は簡単ではないという結論になります。

お手上げだ、顧問税理士にお願いしようとなった場合も上述したように簡単に算出できない為、無料でやってくれる事務所はないでしょう。顧問契約書をご確認ください。決算・申告のみの契約であれば別途追加料金が発生する可能性が極めて高いです。ネットを調べたところ相場は基本報酬15万円~20万円、土地や無形固定資産評価があれば1件につき5万円程度。肌感覚的にもそれぐらいの労力は掛かるかな~という印象です(私の場合は追加作業料としてタイムチャージ1時間〇〇円と言う形で請求させてもらってます)。

これらのコストに見合うか否かについても譲渡に当たり考える必要があります。今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!

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