理由は様々ありますが、よくある相談事項です。「節税になる!」などと喧伝する記事も見ますが、厳密に言うとそのような効果はありません。課税時期をズラす効果がある、が正解です。記事にしてみました。ご参考まで。
大まかな流れについて
会社(法人)にはルールがあるのでルール通りに手続きを進める必要があります。
具体的には下記の手順で進めていきます。
①定款変更の為の株主総会決議:一般的には事業年度(決算期)が定款に定めてあります。定款変更する為には特別決議(3分の2以上の賛成)が必要です。
※今回相談者のようなオーナー会社(自分が社長、かつ、大株主の会社)では決算期変更について否決されることはないので実務的には「議事録作成」をします。
②定款変更をする:定款に事業年度を定めているならば内容を変更します。公証役場の定款認証や法務局への登記手続きは不要なので費用は掛かりません。ただ、司法書士や行政書士に依頼した場合にコストが発生します。
③税務署等に届出をする:決算期変更したことを法人税申告している税務署・都道府県税事務所・市役所に伝えます。「異動届出書」などを提出することになります。こちらも会計事務所(税理士)に作成依頼すればコストが発生することもあります。
※月次顧問契約していれば書類作成代行が含まれていることが多い。
期限について
決算期変更の届出に係る期限は明確に定められているわけではありません。しかし、変更後の納期限までに提出しなければ、申告・納付の方が先に行われることになり変です(おそらく認められない)。よって、少なくとも変更しようとする決算月の納期限(2か月後)までには提出しましょう。
株主総会の決議はいつまでにしますか?という質問もよく頂きます。こちらについては納期限ではなく決算月の末日までに行います。議事録作成日をご確認ください。
おわりに
冒頭でも触れましたが、節税になるから決算期変更しましょう!は厳密言うと正しくありません。例えば大きな売上見込みが数カ月先にあった場合、決算期をその手前に変更すれば当該期間に係る税金は少なくなります。
しかし、翌期には大きな売上が計上されることになるので「課税の繰り延べ効果がある」が正しい言い回しになるかなと。でも時間的な猶予ができるのは大きい。その間に対策を講じることができますから。そういった意味では「節税になる」と言えるのかもしれません。
多額の売上を翌期に回すことができるということは、納税を先延ばしにできるのと同義。資金繰りにも余裕ができますね。ただ、課税の繰り延べが目的です!との理由で決算期変更は認められないので正当な理由を用意する必要がある点にご注意ください。
逆にデメリットとしては、申告期間が短くても税理士報酬(申告料)が掛かってしまうところでしょう。申告期間が短いので月割申告料となる事務所があるかもしれませんが、あまり聞きません。作成する書類は同じですからね。
※月次記帳代行料などは月割になります。
ただ、会計事務所からのお願いで決算期変更する場合には割引があるかもしれません。例えば会計事務所の繁忙期から閑散期への決算期変更のお願いなどが考えられます。この場合は特にお客様にとってメリットのある変更ではない為、当然と言えば当然ですね。
今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!
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