売上の除外はやめて!

経理

以前事業所得を下げたいなら、売上を減らすか経費を増やすかしかないと書きました。
https://tokunagazeirishi.com/i-want-to-lower-taxes/
そして売上を隠す行為は脱税で重い重いペナルティーがある、ともサラッとお伝えしました。今回こちらに焦点を当てました。ご参考まで。

売上管理は重要です

税務的な側面からだけでなく、経営上も事業売上を把握することは重要である点について皆さん異論ないと思います。売上分析は多くの経営者さんが時間を掛けて行っています。

ウチは事業売上なんていくらか知らん、知る必要もない!と言って成功している経営者さんを見たことがありません。偶然or幸運に恵まれて一時ブレイクする、ということはあるのかもしれませんが…おそらく持続性は無いかと。

このように経営者さんにとって重要な売上ですが、税務署にとっても最も関心がある勘定科目の一つです。下記添付資料、所得税青色申告決算書の2ページ目になります。

ご覧の通り青色申告決算書では月別売上金額を記載するよう求めています(画像左上部分)。情報を求めてくるということは関心のある証拠です。他にも仕入の月別金額、給料賃金の内訳、専従者給与の内訳についても記載を求めています。これらについても関心があるということになります。

月別売上の記載に対応するためには売上帳を作成しなければなりません。と言っても手書帳簿の方はほとんどいないと思いますので、日々の会計入力をソフトで行っていれば自動的に作成されます。売上の総勘定元帳が売上帳になります。ちなみに白色申告であっても売上帳の作成義務があり、申告書に添付する収支内訳書に売上の明細を記載する必要があります。

売上を抜いてはいけません

別に正義感だけで言っているわけではなく、バレやすいですよという話。これは元国税OBの方の書籍やセミナーなどからも明らかで、どの方も「売上は抜いてはいけない!」とおっしゃいます。

税務署は売上情報についてかなり力を入れて集めているようで、どこかであなたの情報を入手しているかもしれません。すべて把握できていなくても1つ売上を抜いたことが発覚すれば徹底的に調べられ、芋づる式に…となりかねません。また、抜いたことでブラックリストに載り税務調査の対象に選ばれやすくなる、とも言われています。

私はクライアントへこの話をしょっちゅうしますので、売上を抜く社長さんはおらず、税務調査で実際に指摘を受けたという経験はありませんが、売上除外については税務署はかなり厳しく対応する、と認識した方が良いかと思います。

不正をしているか(意図的か)、そうではないかでペナルティーの重さが異なります。故意の売上除外架空経費の計上は不正に当たります。追加納付額に対して35%~40%の重加算税が課されます。一方、税法の解釈誤りであったり、ケアレスミスについて不正ではなく10%~15%の加算税となります。追加納付の金額によってはかなりの負担になりますので割に合いません。絶対やめましょう。

どうやって調べている?

税務署の情報収集先は取引先・銀行などが考えられます。

例えば取引先があなたに報酬を支払っている場合、報酬が源泉徴収対象であれば支払調書を税務署に提出します。当該金額があなたの売上帳に載っていなければ売上を抜いているか、取引先が経費を架空計上していることになります。取引先は源泉所得税を納付をしていることから、売上除外の可能性が高いと税務署は考えます。架空経費を計上するならわざわざ源泉徴収対象となる報酬を選択することは少ないはずなので。

また、取引先に税務調査が入り、あなたからの仕入金額を把握したとして、あなたが計上している売上と大きく乖離していれば、どちらかが間違った処理(不正を含めて)をしている可能性を考えます。銀行口座の入出金についても税務署は調べる権利を持っているので、本気になれば調べることができます。怪しい入金があれば、それが売上でないか追及することになります。

この他にも、脱税情報の提供(内部告発、ライバル企業、取引先)も考えられます。どこから情報が流出しているか分かりません。当り前ですが不正はいけません。

おわりに

一般的には現金商売(小売り・飲食など)を行っている事業者さんは売上を把握されにくい、と言われています。小売り店や飲食店の場合、来店者の多くは(申告しない、経費計上しない)一般消費者が多く領収書を発行しなければ、売上をなかったことにしても税務署は把握しにくいでしょう。売上数も膨大でどれを抜いているか特定するのは至難の業です。

なので、税務署は現金商売に対して注視しています。通常の税務調査であれば事前通知が行き、日程調整などを経て調査実施となるところ、現金商売に対しては抜き打ち調査を行います。つまり、警戒して(疑って)いるのです。一般客を装い内偵調査などもするようですし。

脅しのようにずらずらと書いてきました、笑。言いたいのは、本当にやめたほうがいいですよと言うこと。税負担が嫌で誘惑にかられる気持ちもわからなくもないのですが、多くの方が見つかっているという実績があります。コロナウィルス同様に自分だけは大丈夫、は根拠がないです。気を付けましょう!

ほとんどの経営者さんがこんな話を聞かなくとも、ちゃんと申告しているよと言いたいのではないかと。仮に…という話で読んで頂けたなら幸いです。

本日はここまで、次回も宜しくお願いします!

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