何で退職金の方がいいんですか?

税金

トントン(利益ゼロ)で収まるぐらいの役員報酬を毎年設定したほうがよいのか?or会社に利益を残しておいて引退するときに大きな金額を得たほうが良いのか?という話です。よくある相談なので記事にしてみました。ご参考まで。

生活に困らない程度がおススメ

皆さんそれぞれの生活環境や家族事情が異なります。よって、役員報酬をいくらにするか一概に決めることはできません。ただし、それぞれの事情を勘案した上で生活費を大幅に上回る役員報酬は設定しない方がいいです。

なぜなら役員報酬は給料だからです。給料の増額は何に影響を与えるでしょうか?給与明細を想像すれば分かりますよね。所得税・住民税・社会保険料すべてにプラスの影響を及ぼします。

給料UPしたのにさほど手取り増えてないな~と感じるのはこれらが原因です。次のブロックで説明する退職金は給料ではありません。税金計算上給料と違った取り扱いになります。そして給料より優遇されています。

よって生活に困らない程度で役員報酬を設定して利益を貯めておくことをお勧めしています。

退職金の取り扱いについて

税法は長期間勤労に対する支払について税負担が軽くなるように配慮しています。具体的には総合課税ではなく分離課税の対象。所得区分は「退職所得」です。他の所得と合算しなくてもよいため冒頭相談者(経営者)のように総合課税の所得税率が高い人とってありがたい所得になります。

また、給料と同様に控除(退職所得控除)が設けられており当該控除額が給料より手厚いのです。多くのオーナー経営者が20年超勤続すると思うので控除額は800万円+70万円×(勤続年数-20年)で計算します。

例えば40歳で起業して70歳で引退した場合、退職所得控除額は800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円となります。つまり1,500万円までは税金ゼロになります。

さらに、さらに

短期間勤務ではなく長期間勤務に係る退職金であれば支給額が控除額を超えても(大抵超えます)もその金額に対して2分の1相当額を更に差し引くことができます。上記ケース3,000万円の退職金を支払った場合は次の通りになります。

(3,000万円-1,500万円)×1/2=750万円(課税退職所得金額)
※勤続年数が5年以下の社長は1/2をすることができません。ご注意ください。

この課税退職所得金額に対して税率をかけて所得税を計算します。税率は所得に応じて段階的に上がる累進税率です。いかがでしょうか?給料と比べてだいぶ配慮されていますよね。

勤続年数端数は切り上げになっていて納税者有利です。1日でも超えれば1年。引退時期をどこにするかで控除額が変わるので知っておくと便利です。ちょうどではなく1日超えましょう。オーナー経営者の場合、雇われ経営者と比較して自由度が高く引退時期についてもある程度裁量があろうかと。

おわりに

今回お話した件はあくまで税金計算上の有利不利についての話です。人にはそれぞれ価値観があります。70歳になってから入る大金なんかより30歳で持つお金の方が何倍も価値が高い!と思う人も当然いるでしょう。そういった価値観を否定するものではない点、お知り置き頂きたく。

皆さんも同様かと思いますがクライアントに何かおススメする時、個人的趣向が少なからず入ります。これがそれぞれの価値観というヤツです。残念ながら価値観が合わなければ私は顧問税理士として選択してもらえません。結果、似た者同士引き合うことになります。ごくごく自然な流れ。これでいいのだと考えてます。無理に同調するのは昔から苦手なので。

…で、私の個人的趣向は「将来不安を無くすべく早期に資産を蓄えたい」です。今はやりの「FIRE」とはちょっと違います。現金預金や有価証券、土地・建物など有形のもののみならず無形のものも含みます(むしろ無形のものが重要?)。

稼ぐ力(自営能力)、信頼・信用などは無形ですが将来不安を無くす為に非常に重要です。とはいうものの無形資産を増やすにはある程度有形資産(お金)が必要、難しいですね…。一般的にはタダで無形資産は増えませんからね。結局のところ有形・無形どっちも増やしたいですよね。欲張りでしょうか、笑。

今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!

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