最近「賃金UPします!」という喜ばしいニュースを頻繁に見るようになりました。パート・アルバイトさんにもその影響は波及しているでしょうか?配偶者の社会保険に被扶養者として加入している場合は要件を満たしているのか確認が必要です。記事にしてみました。ご参考まで。
いくらまでなら大丈夫?
配偶者(夫or妻)の被扶養者となる場合、「年収130万円の壁」と言われるものがあり、とても有名です。厳密に言うと年額ではなく月額(130万円÷12カ月=108,333円)で判断します。直近3ヵ月の平均、2か月連続して超過、3ヵ月連続して超過、などなど健康保険組合によって基準があります。加入している組合の規定を確認してみてください。
社会保険の年収判断は過去の結果を基準とするのではなく、将来見込みがどうなのか(130万円以上か)という観点で見ます。税務上の扶養の判断とは異なるので注意が必要です。2022年10月からは「106万円の壁」なるものも出現し複雑になりました。次の要件を満たす場合は130万円ではなく、106万円になります。こちらもご注意ください。
①週20時間以上の労働
②月額88,000円以上の賃金等
③2か月を超える雇用期間(見込み)
④勤務先が従業員101人以上
⑤学生でない
超えても放置してたら?
扶養の要件を満たさないことが発覚した場合は遡って社会保険料(国民健康保険・国民年金)を支払い、保険適用した医療費を返還することになります。バレた時点からではありません。配偶者の勤務先担当者(経理部)にも迷惑を掛けることにもなる為、やめた方が良いかと。
…とはいうものどうせバレないんじゃないの?脅してるだけじゃないの?と思っている人もいるかもしれませんので現場レベルの話をします。頻繁にという訳ではないのですが、税務署から「扶養是正の通知」というものを目にすることがあります。
税理士はお客様からの情報に基づき申告を行っているので、例えば社長の奥様の所得について「所得はない」と言われればその通り申告します。→後ほど税務署から是正通知が来るということは実際にあります。
どうやって発覚する?
税理士には税務署のような調査権限はないし、不正をあばく仕事をしているわけではない為、上述ケース奥様の収入に係る真実を把握することはできません。また、追及しようともしません。つまり税理士を騙すことは可能なのです(騙して意味があるのかという点はさておき…)。
しかし、行政機関はしっかり真実を把握しています。奥様の勤務先が市区町村に給与情報を報告するからです。データ管理がなされている現代社会で誰が130万円以上もらっているかは簡単にわかります。※事業者にとって給与情報の報告は「義務」であり、勤務先が報告しないor事実と異なる報告をするというのは通常考えられません。
市区町村を経由して税務署に連絡→要件を満たしてなければ是正通知という流れです。税務署から(配偶者控除をした夫の)勤務先に連絡が行き社会保険の要件も満たしていないことが発覚します。健康保険組合によっては収入のわかる書類(直近3ヵ月給与明細など)の提出を求められることがあるようです。当該ケースの場合、確実に発覚します。
おわりに
現場レベルの話を上述しました。税理士に嘘を付くことは比較的簡単にできてしまいます。調査権限が無いのでお伝え頂いたことが真実かどうかわからないのです(怪しいなと思うことはありますが…)。当該ケースの場合、事実と違う申告をした責任を税理士に問えるでしょうか?かなり難しいです。
つまり税理士対策を考えても意味はありません。申告内容が税務調査に耐えうるのかどうかという(対税務署)視点を持つ必要があります。この点を勘違いしている社長が勤務時代に結構いました。税理士が何も言わない→大丈夫!とはなりません。
また、故意であるか否かにもよりますが信用にも関わるのでやめた方が良いです。経験則上1つのルールを無視する社長は他のルールも無視する傾向にあります。危険なクライアントと税理士は付き合いたがらないので顧問契約の解約リスクが高まります。私の事務所でも「これはひどいな」と判断すれば契約解除をお願いするでしょう。長年この仕事を続けてきたので面談でお客様の納税意識についてピンとくるものがあり、独立後幸いお付き合いがないですが。
故意に真実を隠す(脱税)のはやめた方が良いという話でした。…が、「節税」は合法です。積極的にやるべきです。法律の範囲内で税額を抑える努力をしましょう。どの税理士もルールに従ったお手伝いは大好きです(と思います)。
今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!
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