以前、個人事業主の確定申告について記事にしました。
>https://tokunagazeirishi.com/tax-filing/
具体的な手続きについては何も触れていなかったので、今回記事にしてみました。ご参考まで。
最低限必要な提出書類は?
この相談を受けるときのお客様は大抵1人で事業を始めますから、その前提で話を進めます。従業員さんを雇わずにスタートする場合に最低限必要な書類は下記です。
①個人事業の開業・廃業等届出書
②所得税の青色申告承認申請(青色申告を希望する場合のみ)
あとは、棚卸資産のあるビジネスで最終仕入原価法以外の方法を採用したい場合は「所得税の棚卸資産の評価方法の届出書」、減価償却方法で定率法を採用したい場合は「減価償却資産の償却方法の届出書」などあります。何の話?意味わからん用語が…と思った方は忘れて頂いて結構です。
②の青色申告承認申請をするか否かという選択と違って、棚卸資産や減価償却の計算方法についてはどの方法を採用しても経費処理できる総額が変わるわけではない為、あえて届出を出してまで他の方法を選択する方は少ないという印象です。初年度に多額の所得が発生しそう、など特殊事情があれば検討しても良いかと思いますがケースとしては少なく、むしろスタート時は利益少なめという方が多いかと。
個人事業の開業・廃業等届出書
特に迷いそうな項目はないと思います。該当箇所を記載、該当なければ空欄にしましょう。ちなみに、事業開始等の事実があった日から1ヵ月以内に提出する、となっていますがペナルティはありません。…とは言うものの、提出しないは辞めた方が良いです。税務署からの郵送物(お知らせなど)が届かないので不利益を被る可能性ありです。期限内に提出できなかった場合でも、なるべく早めに提出しましょう。
また、こちらを出さなければ所得を申告しなくてもバレなくない?と思った方、危険です。結構バレてます。国税サイドの情報力を甘く見てはいけません。無申告の場合のペナルティは納付額の15%~20%と非常に重いので、今後も真っ当にビジネスを続けるつもりがあるならば無申告はやめましょう。売上除外について以前、記事にしました。
>https://tokunagazeirishi.com/dont-exclude-sales/
著名なお笑い芸人〇〇さんも、経営する法人の無申告で追徴課税を受けました。現在も社会的な制裁を受けてます。税金の重さだけでなく取引先からの信用や自社のブランド力低下などなど、様々な面で良いことは一つもありません。この記事を読んで頂いている勉強熱心な方に無申告をするような方はいないと思いますが、念のため注意喚起です。
所得税の青色申告承認申請書
なんて書けば良いのか分からない、という質問が多いのが、6その他参考事項でしょう。会計ソフトを導入して決算書を作成しようとしているのであれば、上記の通りに記入してください。こちらで足りると考えます。
また、これから事業を始めようとする方向けの記事なのでここでは関係ありませんが、3の「今までに青色申告の承認の取り消しを受けたこと…」とあります。どんな時に青色申告が取り消されるのか?と言うと、、、脱税が発覚したなどの悪質なケースはかなり稀で、よくあるケースは「2年連続で期限内(3/15まで)に申告書を提出しないとき」です。青色申告を予定している方は期限内に申告できるようにしっかり準備しましょう。
※令和元年分はコロナの影響により期限延長されました。令和2年もこのままの状況が続けば延長されるような気がしてます。期限が延びた!ヤッターと、喜べるような状況ではありませんけど…。これからビジネスを始めようとなさっている皆様、大変な世の中になってはいますがご活躍・ご多幸をお祈り申し上げます。
おわりに
今回は1人で個人事業を始めるにあたっての手続きについて書きました。ウチは初年度から結構儲かりそうなんだよね~、という羨ましい方については「青色専従者給与に関する届出書」を上記提出書類に加えてください。要件を満たす必要がありますが、家族に給料を支払い、それが経費になります。以前記事に書きました。
>https://tokunagazeirishi.com/family-salary/
給料を払うことになり①の開業届には給与等の支払の状況・専従者の欄の記載する必要があります。お忘れなく。また、家族に対する給料であっても源泉徴収が必要な金額であれば、源泉所得税を給料から差し引き国に納める必要があります。毎月10日に前月分の源泉所得税を納めなければなりません。
小規模事業者(給与支給者が常時10人未満の事業者)が毎月源泉所得税を納めるのは事務負担が重いとして、源泉所得税の納期の特例という制度が用意されています。この特例を利用すると年2回(1月と7月)6ヵ月分をまとめて納付すればOKになります。適用可能な事業者さんの多くが利用している制度です。該当する方は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」も併せて提出しましょう。
手続きが面倒ですが、やらなければ受けられない特典も多いです。手間とメリットを天秤にかけて後悔のない決断をして頂ければと思います。税理士と顧問契約を考えているのであれば、よっぽど格安でない限り届出関連の代理申請は無料でやってくれるはずです。そんなことに手が回らない、そもそも税理士と契約しようと思ってた、という多忙な経営者さんは顧問契約(代理申請含む)の話を進めれば良いかと思います。
本日はここまで、次回も宜しくお願いします!
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