支店(国内)があると面倒ですか?

結論から言いますと面倒です。国税については所得(儲け)に対し日本国に納税するだけで支店の有無は関係ありません。…がしかし、地方税についてはどこに・どのような割合で納めるかを決定しなければなりません。記事にしてみました。ご参考まで。

按分計算が必要です

冒頭でも述べた通り国税は拠点が複数あったとしても日本国に納めるだけなので特に按分する必要がありません。問題は地方税。本店以外に支店があると所得(儲け)を分割するという作業が発生します。分割する基準は「事業所数」や「従業員数」です。

儲けを上述基準でそれぞれに割り振り、都道府県・市町村ごとに申告書を作成して納税額を納める必要があります。よって、申告先が増えることになります。コスト面で言えば多くの会計事務所で税理士報酬が上がると思われます(弊所も追加報酬を頂いてます)

よって、全く売上に貢献しないのであれば手間orコストがかかるだけです。支店を出すことによって売上が増える見込みがあるならば検討する余地があると言えるでしょう。

事業所の数だけ税金が増えます

上記は所得(儲け)に係る税金についての話をしました。税務上当該税金を所得割と呼びます。一方で儲けがあろうとなかろうと掛かる税金もあります。それが均等割と呼ばれるものです。

一般的には支店を出すと均等割が増えます。事業所ごとに税金が掛かってしまうからです。例えば、資本金300万円東京都港区に本店がある法人が埼玉県川口市に支店を設置したとします。この場合、東京都への均等割(70,000円)だけでなく、埼玉県へ20,000円、川口市へ50,000円を追加で納めることになります。

以下、事業所が構えるごとに約70,000円税金が追加されると考えてください。約70,000円としたのは支店設置場所によっては超過課税される地域があるからです。私のお客様でよく見るのは横浜市みどり税、ぐんま緑の県民税などです。

※上記は下限額であり、資本金や従業員の人数によって納付額は異なります。正確な金額が知りたい場合は各行政機関ホームページを参照ください。

その他の留意点

支店を出すと様々な備品や設備を用意(購入・工事)すると思います。パソコン、陳列ケース、看板、応接セット、エアコンなどなど。これら「工具・器具備品」は償却資産申告が必要になります。支店(建物)周りを舗装したり、庭園・門・塀を設置する場合も「構築物」と呼ばれ償却資産の申告が必要です。電気設備や給排水設備、空調設備なども同様。

償却資産該当の有無は判断がとても難しく悩むはず。専門家へ依頼が必要な事案ではないかと考えます。支店設置が決まったら顧問税理士と相談しながら進めましょう。

また、従業員人数が多いと本店で一括して給与計算せず、支店ごとそれぞれに給与計算を行うかもしれません。この場合、給与支払事務所は当該支店ごととなり支店設置場所を管轄する税務署で源泉所得税を納付する必要がある為、注意が必要です。

まだ給与計算について検討中であれば、本店で一括して計算することをおススメします。納付先、納付回数を増やすと煩雑になりますゆえ。

おわりに

一般的に支店を出すと税金が増えると書きました。じゃあ例外はあるのか?というと、、、あります。支店において均等割が課されるのは事務所等に該当する場合のみです。ほぼ事務所等に該当するので「一般的」という表現を用いました。事務所等に該当するには①人的設備②物的設備③事業の継続性の3要件を備えている必要があるとされています。

①人的設備について「支店に従業員がいないので事業所等に該当しないですよね?」と相談を受けることがありますが、外部委託してクライアントへ役務提供をしている場合など(間接的に行われるもの)も①の要件を備えている、という判決が出ています。

外部委託しておらず仕事があるときだけ行くといった場合であっても、常駐しているか否かといった形式的な基準で判断はしない、内容を見て総合的に判断する、として事業所用家屋と判定されたケースもあります。線引きが明確にあるわけではないのでしばしば争い(裁判)が起きています。多少のリスクがあることは念頭において事業所等には該当しないという選択をした方が良さそうです。

そもそも論になりますが、事業所等に該当しないような設備を保有する必要が経営戦略上あるのかという点を吟味する必要があります。利益を生み出さない無駄な設備となっていないかチェックしてみてくださいね。今日はここまで、また次回も宜しくお願いします!

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