一定の支払をした場合にその内容を税務署等に報告(提出)しなければなりません。年末調整をした流れで1月31日までに前年分(1-12月)を報告します。外部に依頼しない場合には自分達で書類を作成し提出する必要があります。概要を記事にしました。ご参考まで。
一定の支払とは?
提出が義務付けられている支払はたくさんあります。ただし、一般的な企業において提出する書類はパターン化されています。従業員さんへの給料と士業報酬の支払です。会計事務所に依頼している方は「弊所以外に士業への支払(例えば弁護士や司法書士)はありませんか?あれば請求書ください。」と言われたことがあるはず。
給料支払については年末or年初に源泉徴収票を従業員さんに渡しています。この情報を税務署や市区町村にも出す、とイメージして頂ければ結構です。税務署や自治体から書類が送られてきますので記載例を見ながら作成します。
士業報酬については支払調書という書類を作ります。これは税務署に提出するだけ。士業事務所分を作成して先方に渡す義務はありません。…とは言うものの「ください」と言われることはあります。その際、税務署に提出したものと同じものを渡してあげてください。1月~12月の支払額を集計し5万円以下のものは提出しなくてもよいなど細かい規定もあります。記載要領の該当箇所をしっかり確認しながら作成を進めてください。
※「法人への支払(例えば税理士法人)は源泉がないので記載しなくて良いですよね?」とよく聞かれます。源泉あり、だけが対象ではありません。法人への支払も対象になります。
※行政書士報酬の請求書を頂くことがあるのですが、原則対象になりません。所得税法204条第1項の報酬に該当しないから、が理由。
家賃を支払っていれば、それも対象です。
不動産の購入や賃貸に係る支払も対象になります。不動産業以外「購入」は少ないかもしれません。しかし、事務所を借りて事業をしている法人は多いはずです。家賃や仲介手数料に係る情報を提出する必要があります。
先ほど士業報酬は法人に対する支払も対象になります、と言いました。ややこしいのですが…地代については個人への支払のみが対象になります。法人への支払は権利金や更新料等のみが対象となります。
不動産に係る支払にも年間15万円以下は提出不要などの規定があって、記載要領の確認が必要です。専門家でも細かい規定を全て覚えるのは大変です。宣伝するつもりはありませんが経理部を抱える規模になるまでは会計事務所に依頼するのが良いかと。法人の会計事務所委託率は90%超です。中小企業の場合、顧問契約を締結していれば当該業務はほぼ会計事務所が代行しています。これまでの内容を聞いて「さっぱり分からん、分かりたくもない!」となった方は検討してみてください。
※「家賃の振込先○○という会社なんですけど法人への支払ですか?」とよく聞かれます。あくまで物件所有者が個人かどうかです。振込先が管理会社となっていても法人への支払とはなりません。
法定調書合計表で集計
最後に源泉徴収票や支払調書などを集計した「合計表」を作成します。上述〇〇円以下のものは提出不要という規定があるとご紹介しましたが、これは源泉徴収票や支払調書の話であって合計表に記載しなくて良いという話にはなりません。合計表には支払ったすべての金額を集計する必要があります。つまり少額だからといって無視していい訳ではなく、全ての支払を抽出しなくてはなりません。
また、会計の感覚と少しズレるのですが支払が確定したものが対象です。支払期限が到来していないものは含める必要はありません。例えば、12月分の報酬であっても1月に支払期限が到来するものは来年の法定調書に記載することになります。
※源泉徴収票について「中途入社で前職がある人はどうしますか?」とよく聞かれます。法定調書合計表への記載金額は御社が支払った額が対象です。前職分は含めずに集計してください。
おわりに
法定調書の提出期限は1月31日。源泉徴収票は12月or1月の給料支払までに用意してあるはずです。残りの期間を使って士業報酬や地代などの情報を集めて資料を作成し、期限までに提出を目指します。通常の業務以外に追加業務が発生するので当然ながら忙しくなりますよね。設備を多く持つ会社は償却資産の申告期限も同じなので更に…。すべて期限のある業務ですからスケジュール管理、大切です。
ありがたいことに現在は自分で仕事量をコントロールできるようになりました。勤務時代はこの時期が迫ってくると気持ちはやや下降気味。いわゆる「会計事務所繁忙期」というヤツです。大きな困難を前にしてワクワクするわ~武者震いするわ~、とはなれませんでしたね。アニメのヒーローじゃないんで、笑。
①12月中旬~1月上旬:年末調整
②1月末:法定調書・給与支払報告書・償却資産申告書
③2月~3月中旬:確定申告
④5月末:3月決算法人の申告
以上、会計業界繁忙期になります。
「そんなの関係ない」ですよね。業務受託している以上は「繁忙期とかこっちは知らんし」という話です。できない(こなせない、も含む)仕事を受託してはいけないと私は思ってます。何でもかんでも仕事を受託、品質が著しく低下しても「繁忙期なんですみません!」、、、これはやりたくない。無理やり期限に間に合わせようとして起きてしまう現象です。会計事務所に限った話ではないでしょう。
雇用に頭を悩ませている経営者さんは多いかと思います。中小企業の場合、仕事量をコントロールしてあげるのも(適量を把握することも)経営者の大事な仕事の1つ。誰かに任せたり、放棄してはいけません。本当に知りたい情報(特に都合の悪い情報)が社長に届かなくなる可能性大です。勤務したことがある方はその時に感じたことは大きな財産です。参考にするもよし、反面教師にするもよしです。ご自身のビジネスに必ず活かしましょう。
本日はここまで、次回も宜しくお願いします!
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